内装材料卸の森熊(愛媛県松山市)は、2019年に施工技能者の雇用育成会社「ベアカレッジ」を設立し、地元の高校卒業生を正社員として雇用育成し、技能者を増やす事業をスタートした。同時に、壁紙とペイントのショールーム「WALLPAPERHOUSE(ウォールペーパーハウス)」を運営。材料のキュレーションを通じたユーザーのニーズの探求と、材料価値の訴求によって工事の価値を上げることを目指す。
内装業界の変革、まずは地域で
50人体制目指す
森熊が2019年に設立した「ベアカレッジ」では地元の高校卒業生を正社員として雇用育成している
卸事業の立場で、職人育成をゼロから行うことで工事の価値を生み出す。ベアカレッジは地元の高校卒業生を正社員として雇用育成する。育成はパートナーである熟練の技能者が行う。現場の清掃やパテ処理など、ステップを踏みながら基本の型を身に付けることを重視する。入社1〜2年目は基礎研修とし、入社3〜5年目は有償の仕事を手掛けていく。仕事の受注は、森熊が内装工事店から職人手配の相談を受けた際にベアカレッジを紹介するという流れだ。入社6年目になるとベアカレッジで社員として勤務し続けることの他に、独立して森熊のパートナー事業者になるか、内装工事店へ転職するかを選択することになる。「社員が地元に残って内装事業を行うことで、四国4県にそれぞれ拠点が作れると思っています」と大塚紳哉社長は語る。現在の正社員技能者は4人で、今年3月に高校を卒業する3人の正社員入社が決まっている。将来的には技能者50人体制を目指す。津嶋泰平部長は「入社3年目には一人あたり約20万〜30万円の売り上げを目指しています」と語る。
森熊は壁紙とペイントのショールーム「WALLPAPER HOUSE(ウォールペーパーハウス)」を運営している
材料の価値を高めるウォールペーパーハウスは四国4県へ展開。各県それぞれの店舗に国内外の壁紙見本帳を大判サイズで400冊以上そろえ、施主のニーズに対して約1万点のデザインからキュレーション(編集)して提案する。建築における構想段階で、壁紙やペイントを使った「自分探し」を手伝う仕事であり、これを「壁紙キュレーター」職として正社員の雇用育成を行っている。大塚社長は「お施主さんがどんな空間で過ごしたいのか、ご自身のアイデンティティを探求してもらいたい。また、構想段階で壁紙を使って『空間づくりの鍵』が見つかると、その後の基本設計以降の判断基準ができて生産性を高めるだけでなく、建築自体の価値が上がる。その結果、壁紙材料の価値が向上する」と語る。

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