大阪市中央区に本社を置く老舗有力管材問屋の「昭栄」は、明治16年に水道金物販売業として創業。現在は、上下水道資材や設備機器の専門商社として、西日本を中心に15拠点で展開している。
「住宅・マンションをはじめオフィスビルに至るまで幅広い建設資材・機器を扱っています。取引先の問屋2000社くらいあります。仕入れ先は1000社くらい。アイテム数は7~8万と、膨大な数の商品を取り扱っています(内田巧常務取締役)
同社の平成22年の売り上げは139億円。その後も順調に売り上げを伸ばし、平成26年には164億円を達成した。戦後間もない昭和24年の設立以来、黒字経営を貫いている。しかし今後、その売り上げを伸ばしていくために欠かせないのは、首都圏の開拓だという。
「創業から130年以上の歴史のある会社ですが、関東の売り上げは22%程度と少ないです。今のうちに、市場の大きい関東を強化しないといけない。日本はこれから高齢化に向かい、人口が減りますから。とにかく関東を、ということで6年前に金沢から単身赴任し、首都圏の市場拡大に力を入れています」
首都圏は以前からある東京と千葉の拠点の他、埼玉に3年前、神奈川には今年の春に進出し、1都3県で営業体制を整えた。
また昭和54年には、メーカー部門の自社ブランドとして「アウス」を設立している。アウスの社長を兼任する内田氏は、「売り上げは昭栄の2%程度だが、堅実に利益をあげています。自社ブランドを持っている、ということで大手販売店にもお付き合いいただけるし、社員の士気も上がる。自社ブランドを大切に育てていこうという気持ちでやっています」と話す。
アウスでは排水金具や洗濯機防水パンなど、設備付属品や消耗品を主に取り扱っている。「以前は委託していたような細かな作業も自社でやっています。単価は小さいが、独自で値段を設定し、それなりの利益を出しています。他の管材問屋が主に扱うような商品は当社では取り扱っていません。隙間的なところで特徴を出して、他社と差別化を図っています」
独自商法が同社の堅実経営を支えている。

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