積水化学工業(東京都港区)はマンション専有部のリフォーム事業をスタートさせた。2009年より共用部の工事は開始していたため、これで総合的にマンション改修を行える体制を整えた。2016年度には、このマンションストック事業全体で100億円の売り上げを計画する。
快適な温熱環境実現
このたび、積水化学工業が取り組みを開始したマンションリフォームは、住戸をスケルトン状態にするパッケージ商品(商品名・マルリノ)型の大型改修事業。専有部の大型改修は既に先行する企業があるため、差別化に標準で断熱材を使用し、結露を極力抑える独自の「Refilld(リフィルド)工法」を採用した点が最大の特長だ。
断熱材には高性能のフェノールフォームを採用。パネル化したものを壁一面に施工すると共に、窓には内窓を取り付けることで、快適な温熱環境を実現する。同時に結露によるカビの発生リスクを大幅に抑制できる点が同工法の利点だ。
断熱パネルをする施工なので短期工事を実現
「マーケティングの中でマンションのカビ対策は潜在的に多い需要と出てきました。クロスを張り替えても、数年するとカビが発生してきますし、一度カビが出た壁ヅラには家具が置けません。また子供部屋にすることも難しいです」(岸谷岳夫環境・ライフラインカンパニー マンションストック事業推進部長)
給水・排水管も一新
床については二重床の遮音システムを採用。二重床にすることで、宅内の水回り配管を床下で自由に配置できる形とした。結果、キッチンやお風呂など、水まわりの位置変更が容易となる。老朽化した配管は自社製品の樹脂性配管に交換してしまうため、サビや漏水を抑制できる点も大きな特徴だ。
「専有部の改修事業をやってみようとなった大きなきっかけは、給水や給湯の漏水など組合では抱えきれない区分所有者さんの困り事でした。2009年から参入した共用部の改修の際に、そうした情報が上がってきたため、それなら専有部でも対応できる色々な商材があると、取り組みを始めました」(岸谷部長)
同社は新事業を本格的に行うにあたり、組織改編も行った。共用部を手掛ける組織と専有部の組織を統合し、マンションストック事業推進部を設立。今後は、共用部改修の際に派生する専有部改修の要望と、直接的なエンドユーザーへのアプローチという2つの側面で、需要を獲得していく。
具体的な新規ユーザーに向けたPR手法としては、マンションリノベーションを検討する人の大半がWEBを中心にリサーチをかけるという調査データの元、WEB集客を中心に行う。新聞折込やポスティングなどで知名度をあげ、最終的にはホームページ入り口で情報発信、プラン提案のアプローチをする方針だ。
「WEBでは、他社にはない仕掛けもしています」と岸谷部長。施工事例は気になる箇所を画面上で移動しながら見られる仕組みとなっており、施工前、施工後だけではなくスケルトン状態も確認できる。さらに、解体から完成までの様子を早送りした動画も用意されている。
「解体工事から、実際の状況がどうなるのかの問い合わせが多いため、動画も作りました。情報をオープンにすることで、安心感も出ると思います」(同部長)
施主宅で順次見学会を開催する予定
専有部で16年度25億円目指す
この専有部リフォームは1都3県でスタート。ターゲットは一次取得者の30代とセカンドライフを迎える50代だ。パック商品の価格は平米13万~15万円で、1棟あたりの単価は70㎡で約1000万円となる。
初年度の今年は来年度の契約につなげる形で動き、3年後の2016年度に専有部工事のみだと25億円の売り上げ、戸数でいうと1000戸の受注を計画する。

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