子育て中のママは住まいにどんな不満があるのか―――。編集部では2人の生活者に、住まいに対して今どんな困り事があるのか、ヒアリング調査を行った。動画を使ったニーズ調査を手掛ける「えそら合同会社」と協力し、ママさんに住まいの不満点について短い動画を撮ってきてもらった。住まいのプロとともに、悩み事の解決策も探った。
ママが「困り事」を撮影してきた短い動画を参考にニーズを探った。えそら合同会社の独自の調査方法
階段の段差が不便
一人目の女性は、築40年の家に住む30代女性のAさん。困り事は、玄関扉を開けるとすぐに2階に上がる階段がある、というこの家の構造だ。1階は駐車スペースで、暮らしの中心は2階と3階なのだが、それが不便だというのだ。なぜか。
「90歳代の祖父、祖母と同居しており、二人の居住スペースは2階なんです。介護なしに階段をあがれないんです。エスカレーターをつけられるのならつけたいくらい」(Aさん)
アキ設計(神奈川県川崎市)の池上裕子社長は「介護が必要になったときのことをまったく考えられずに建てられている家は本当に多い。特に段差のことで悩まれるご相談はよくあります」と話す。
Aさんの家の階段には介助負担を軽減するための手すりがリフォームによって付けられているのだが、設計に一工夫加えることが必要だと池上氏は指摘する。
「できれば『いかにも手すりがついてます』というデザインにして欲しくない。実は高齢者は高齢者っぽい物を好みません。一番嫌なことなんです。『デザイナーズバリアフリー』というか、若者が住んでもおかしくないくらい、見栄えが良かったりデザインが良かったりというような設計も大事。気分が明るくなりますからね」
バリアフリーリフォームのポイントなどを解決するアキ設計の池上裕子社長(右)
靴であふれる玄関
Aさんの悩み事はそれだけではない。「玄関スペースが狭く、靴をしまうための収納が不足。物であふれてしまい、掃除用具も置きたいのにその余裕がない」(Aさん)
整理収納事業を手掛けるサマンサネット(東京都江戸川区)の杉之原冨士子社長は収納で大事なことについてこう話す。「なかなか物が減らない方は、まず『今』どうなのかを考えることが大切だとアドバイスしています。つまり、今使う靴があるのか、ないのか。まず全ての靴を全て出して、使う物だけを入れる。こういうことから始めましょう」
サマンサネット 杉之原冨士子社長
使えないキッチン収納
もう一人参加してくれた子育て中のママ、Bさん(30代)はキッチンに悩み事があるという。35年近く前のキッチンを使っているが、収納棚が高すぎて使えず、モノをしまう場所が不足している。調味料なども入れられないという。

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