メーカーのプロダクトデザイナーが
本当に伝えたい商品の魅力について語る
designerに聞く!vol.3
作り手が一生懸命考えた商品でも、売り手にその情報が伝わらず、商品価値や魅力がユーザーに伝わらない場合がしばしばある。リフォーム業界も同様だ。商品開発デザイナーが考える開発背景や意匠へのこだわりを知ることで、ユーザーへの商品プレゼンも説得力が増すはずだ。
和を思わせるような空間でも、モダンな空間にでも自然に配することができながら、空間を際立たせるデザイン。シンプルなスタイルだが、ディティールの曲線が温かみと深みを持たせている
デザイン水栓シリーズ cye「サイ」
三栄水栓製作所(大阪府大阪市)
cye(サイ)は、「矛盾を設計する」という発想から出発しています。"古いは新しい"とよく言っているのですが、テクノロジーで追いかけていく新しさもある一方で、昔からあるものについて考えるのも新しさの定義。「懐かしい未来」とか、矛盾した言葉を作って、現代のプロダクトであっても見る人が懐かしいと思う記憶をイメージしてデザインしました。
カラーはクロム、マットブラック(黒)、ブラス(真ちゅう)の3色展開。例えば真ちゅう色の水栓を使うと、ホテルのような雰囲気や、あるいは古い町屋のような民家の改修にも当てはまります。黒の水栓ならカッコいい空間が演出できるしインテリアにもなる。その意味でプロダクトであると同時に空間の一部としてとらえています。
カラーバリエーションは3つで同じデザインでも印象はかなり違う
マットブラックのシャワー混合栓と洗面混合栓。黒の水栓が空間のバランスを取っている
細部でこだわったのは「陰影」の設計。結局、全部をシンプルにしていくと「影」がなくなって奥行きも感じなくなります。全体をツルンと一体化させるのが今までのデザインでしたが、cyeでは細部に刻印を入れて凹凸をつくり、"小さな世界における多様性"を表現しています。(谷尻誠氏)

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