《TDYリモデルスマイル作品コンテスト2016》
2月14日に台湾で表彰式を行ったTDYリモデルスマイル作品コンテスト2016。最優秀賞の中でも上位の表彰を受けた2社の事例を紹介する。施主の思いを実現した設計者の心遣いなど、学ぶ点が多い2事例を取材した。
【全国最優秀賞】
瀬戸内海を望み、100%海を感じられる家
マエダハウジング(広島県広島市)
海を一望できるリビング
33年、80平米のマンションをリフォームした事例。同じマンション内に住む老夫婦が、東北から故郷に戻って生活する娘のために最上階の部屋をリフォームした。
瀬戸内海に面した物件を、海好きの施主の希望を叶えるためにいろいろな工夫がなされている。その一つが、リビングを開けたら海が一望できるように、壁の直角に出っ張った部分にRを付けて眺望性を良くしたこと。
他にも、海をイメージした明るい白と青の色調にしたり、和室の引き戸の窓は船室をイメージした丸窓にしたり、灯台のステンドグラスを設置するなど、細かなこだわりを形にしている。
青をアクセントカラーに白と構成した海をイメージさせる空間ができあがった
施主も床材の色決めのために、ポール・マッカートニーのライブに合わせ、広島と東北から父娘が東京に集合して検討するなど、家造りの過程を楽しみながらリフォームに取り組んだという。
和室の引き戸の建具には丸い船室をイメージした窓を設けた
コメント:職人さん泣かせの希望叶える
前田正登己社長
リビングのR壁や建具の丸窓など、職人さんには非常に苦労して形にしてもらいました。お施主さんの希望を形にでき、喜んでもらえた上に、こうした賞を受賞できて非常に喜ばしく思います。
【TDY総合リモデル賞】
母屋に戻ってきた家族 ~通り土間がつなぐ家族の時間~
喜多ハウジング(石川県金沢市)
築55年の古民家がすっかり生まれ変わった
母屋に2人の夫婦、離れに4人の子供世帯が住む築55年の古民家の施工事例。二世帯住宅に住む家族のコミュニケーションの改善を動線の変更で実現した。玄関脇の使用していなかった「おえ」と呼ばれる小部屋をリビングに変更して、そこに二世帯が自然と集う設計が高く評価された。
リビングに人が集まるようになった
喜多ハウジングは他部門でも2作品が最優秀賞として表彰され、合計で3作品が受賞した。デザインや設計、施工などの質を高める同社の取り組みや、地元の北陸に多い古民家のリフォームを研究する社内での勉強会「地域建築研究会」などの活動が、こうした結果に結びついている。
玄関脇のウォークインクローゼットを二世帯共用とすることで自然に動線を1つにした
コメント:高いチーム力でデザイン
品質管理室長 桝谷仁取締役(左) 金沢店キタデザインチーム 榊原彩氏(右)
榊原 バラバラになっていた家族の動線をまとめることによって、コミュニケーションを取りやすくした点が最大のポイントです。施工前は玄関が2つあり、あまり交流が取れていませんでした。
母屋の玄関に通り土間を作り、2世帯が使うウォークインシューズクローゼットを造作、母屋のリビングに集まりやすい間取りにしました。工事後、お施主さんに「家族がリビングに集うようになったよ」と言われ、嬉しかったです。
桝谷 榊原は入社して5年目ですが、前職での経験も豊富で、弊社でも古民家リフォームの経験を積んでいます。この事例でもお施主様の要望をうまく引き出してくれたと思います。チームでデザインをするという弊社の仕組みと、彼女の力で受賞できたと考えています。

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