日本衛生センター(東京都国立市)が開発した、低コストかつ短工期で施工できるオリジナルの基礎補強工法「SOLID REMAIN(ソリッドリメイン)」。今年4月の発売以降、全国の工務店やリフォーム会社をはじめ、一般ユーザーからも多くの問い合わせが寄せられている。
SR施工中 上塗り
なぜ、いま基礎補強が必要なのか
ソリッドリメインは、同社オリジナルのエポキシ樹脂で、アラミド繊維シートをコンクリート表面に接着固定して補強するハイブリッド工法。従来のコンクリート増し打ち工法や鋼板巻立て工法と比較して低コストなうえ、一般的な住宅なら床板を剥がさず1~2日間と短工期での工事が可能だ。また同社の従来品に比べ、エポキシ樹脂のコンクリート接着力と圧縮強度が大幅にアップしたことに加え、配合粘度を下げたことにより塗りやすく施工性も向上した。
SR施工前後(内基礎)
築年数が30年以上の住宅基礎にはクラックをはじめとし、劣化現象が発生しているケースが多い。クラックの発生によって二酸化炭素や雨水が内部へ入り込み、コンクリート中の鉄筋が錆びて膨張することで爆裂現象を生む。ソリッドリメインを用いて基礎を補修することで、劣化の進行を食い止めることができるのだ。
2000年の耐震基準改正以降、ベタ基礎の住宅が主流になったが、それ以前は布基礎の住宅が多く、ベタ基礎と比較して耐震性に劣るといわれている。また、布基礎は床下の地盤が土であるため土壌中の水分が浸透しやすく、基礎が崩壊していく硫酸塩劣化などの被害リスクも高い。日本は地震が多く、耐震壁を設置していたとしても、基礎がその力を支えられなければ耐震性をうまく発揮できない。それだけに、建物の構造を支える基礎がしっかりしていることが重要になる。
水回り工事と同時に行うメリット
同社が、全国の取引先からの依頼を受けて手がける工事は防蟻工事や断熱工事などを含めて年間3000件ほどに上るが、そのうち基礎に関する工事は1割程度。まだ十分に基礎補強の重要性が周知されていないという現状がある。担当者は、「屋根・壁・内装のリフォームは目で見ることができるので工事の必要性を容易に感じられるが、床下まで点検する業者は少ない。床下点検を実施して、実際に基礎の劣化やクラックを目の当たりにしてはじめてその必要性を実感できる」と力を込める。
同社への床下点検の依頼は、トイレ・浴室・キッチンなどの水回り工事での現場調査やシロアリ被害の有無を調べる点検、買取再販時での点検など多岐にわたる。点検の結果、基礎の劣化が発見されて基礎補強工事を行った場合、各社の方式や流通ルートなどによって異なるが、元請業者にしっかりとした利益を残せるケースが多く、点検自体は無料で行っている。
前出の担当者は、「基礎の劣化を放置していると、経年によって生じるダメージだけではなく、地震などの衝撃にも弱くなり住宅の耐久性に影響を及ぼす恐れがある。日本は、国土が世界の0.29%なのに対して地震の発生率は世界の17.9%を占める特殊な地域性であることに気づいてほしい」と呼びかけている。
長持ちする住宅を増やすうえで欠かせない「基礎補強」の重要性を多くの業者や施主が理解し、積極的に手がけてみてはどうだろうか。

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