高断熱の窓として注目される樹脂サッシ。アルミサッシから樹脂サッシにリフォームすると、窓の断熱性能が格段にアップする。最近は、開口部が狭くなるといった欠点をクリアした工法も開発されている。
熱伝導率が低く、結露しにくく断熱効果高い
住宅の熱の多くは窓から出入りしている。冬は熱の5割が窓などの開口部から逃げ、夏は熱の7割が開口部から入ってくる。つまり住宅の断熱性能を高めるには、窓の断熱対策が欠かせない。(樹脂サッシ工業会HP参照)
断熱を目的に行う窓リフォームのうち、一般的なのは単板ガラスから複層ガラスへの交換だ。複層ガラスのメリットは、省エネ、結露軽減、断熱、遮熱などがある。新築戸建て住宅ではすでに96%以上に使われ、既存住宅でも約3割が複層ガラスに交換されている。また、より高機能なLOW-Eガラスを使った複層ガラスも目覚ましく普及が進んでいる。
しかし、複層ガラスに交換しても、サッシがアルミのままだと、サッシ部分から熱が逃げてしまうという欠点がある。アルミは軽くてさびにくい利点があるが、熱の伝導がよいために断熱・遮熱効果が低い。
一方、樹脂はアルミに比べて熱伝導率が1000分の1と低く、結露しにくく断熱効果が高い。例えば、単板ガラスのアルミサッシをLow-E複層ガラスの樹脂サッシに交換すれば、窓から逃げる熱を7割以上抑えられる(図1参照)。
【図1】サッシの熱貫流率比較:Uw値
樹脂サッシとアルミサッシでは熱貫流率(熱の伝えやすさ)が大きく違う
(※出典:エクセルシャノン)
1日で施工できる新カバー工法開発
アルミサッシから樹脂サッシへの交換は、今の窓を枠ごと交換するため、大掛かりな工事になりがちだ。しかし最近は、簡単施工で樹脂窓にできる工法が開発されている。
樹脂サッシのシャノンウインドを発売しているエクセルシャノン(東京都港区)は新しいカバー工法「シャノンDeリノベーション」を開発し、4月から全国の一部の地域に限定し展開を開始した。この工法は、今の窓のサッシを採寸し、それに合わせて樹脂をカット。アルミにぴったり合わせてカバーするため、開口部を狭めないのが一番のメリットだ。
樹脂サッシへのリフォーム施工事例
樹脂サッシに交換後も、開口部は広く確保できる(※出典:エクセルシャノン)
窓枠が太くならず、ガラス面の広さがリフォーム前と大きく変わることはないので、窓の見栄えが悪くなるという心配はない。取り付け工事は1日で完了。肉厚のデザインで、美しい外観に仕上がり、耐久性やメンテナンス性にも優れている。
欧米で7割の普及率
エクセルシャノン 西木央 氏 取締役是正推進本部本部長 営業本部東京支店長
樹脂サッシは、欧米を中心に韓国、中国などでも広く普及しています。米国や英国、ドイツなどでの普及率は7割近くに及びます(図3参照)。日本では、サッシはアルミ製が6割を占め、樹脂サッシの普及率は7%ほどですが、寒さ対策として北海道では9割以上、東北では4割ほど普及が進んでいます。九州・沖縄でも暑さ対策などで利用が伸びています。
樹脂サッシのメリットを知っていただき、高断熱窓へのリフォームに活用していただきたいと思います。
【図3】世界の樹脂サッシ普及率
欧米に比べ、日本の樹脂サッシ普及率はまだ低い(※出典:樹脂サッシ工業会)

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