リノマークス事業で30億円突破へ
新築マンションデベロッパーのコスモスイニシア(東京都港区)が中古マンションの買取再販事業に本腰を入れ始めた。中古マンションを買い取り、リフォームしてから再販売するビジネスだ。2016年3月期には同事業で売上高32億円を計画。年150戸の販売が実現できる体制を目指す。
2種の再販ビジネス
「私たちの強みはマンションをうまく加工できる技術。新築と遜色のない再生にこだわっています」。こう話すのは買い取り再販事業のキーマンであるマンション事業部、辻川悟氏。同社は大和ハウスグループのマンションデベロッパー。これまで10万戸を超える新築マンションを販売してきた。この実績から生まれたノウハウをいかして、近年注力しているのが中古再販だ。
同社では2種の再販事業を展開。1つは中古マンションを1棟まるごと仕入れて共用部、専有部ともに改修して再分譲する事業。もう1つは中古マンションを1戸単位で買い取り再販するもの。
2014年3月期の販売実績は35戸だが、2015年3月期の販売計画は1戸タイプで50戸、1棟タイプで30戸。2016年3月期にはトータルで150戸の販売を目指している。目標の売上高は32億円。
現在中古マンションの仕入れを強化している最中。取得済み物件数は昨年7月から今年3月末の間で、首都圏が125戸、近畿圏が22戸となっている。
4つのプランから選択
特に同社の事業でユニークなのは、1棟まるごと再生。これは「リノマークス」というブランドで販売している。これまで手掛けたのは2棟。1棟は「リノマークス横浜仲町台」で、元々は社宅として利用されていた物件だ。 再生のテーマは「住まいにドキドキ・ワクワクを」。プランは4種あり、好みの間取りを選べるようにした。4種とは、ライフスタイルの変化に応じて部屋の使い方が変えやすい「フレックスプラン」。もう1つが子供部屋が充実した「キッズプラン」。3つ目は対面型キッチンとテーブルがつながり、仲間と食事ができる「パーティプラン」。4つ目は同社の新築仕様の間取り。
可変性のあるフレックスプラン
子供部屋が充実したキッズプラン
対面キッチンのパーティプラン
中でもキッズプランの人気が高かった。このプランの部屋は周辺の新築相場とそれほど変わらない平米単価で成約しているものもある。さらに、IKEAのアイテムでインテリアコーディネートされた特別室も用意した。住宅設備・建材については同社が新築マンションで使用する最新商品を導入しており、中古特有の見た目の汚さなどはない。
1棟まるごとであれば、戸単位では不可能なエントランスやエレベーター、駐車場などの共用部も改修が可能。これらを改修することで、外観の劣化もカバーでき、建物全体のバリューアップが図れる。
30~40代を対象に
ターゲットは新築購入を検討している30~40代のファミリー層。
平均販売価格は2880万円(2013年3月期ベース)。新築を探していたが、「リノマークス」を見学したところ部屋が広く、プランも充実していることを知って購入にいたるというケースが多いという。再販物件の中には、周辺の新築とそれほど価格が変わらない物件もあるが、リフォーム内容が気に入って契約になることもある。
「こんなに素敵な部屋なら新築でなくてもリノベーションマンションでもいいと思ってもらえるプロモーションを心掛けています」(ソリューション事業部、木下修文氏)
集客は棟内のモデルルームへの誘導。実際の仕上がりをリアルスケールで体感できるためリフォームのイメージを理解してもらいやすく、クロージングに役立っている。
今後については「新築にも中古にもないリノベーションの価値を追求していきたい」と辻川氏は話す。

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