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積水化学工業、延ばせ健康寿命!自宅をジムに改修する「うちジム」

積水化学工業、延ばせ健康寿命!自宅をジムに改修する「うちジム」

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住宅ストック市場の新シナリオ13

keyword 01◆ 高齢化対応

 高齢化率世界一のニッポン。健康で長生きは最大の関心事だ。積水化学工業(東京都港区)では今、「健康寿命」を伸ばすためのリフォームに取り組んでいる。

積水化学工業 グリップがついた壁を登るスポーツボルダリングも自宅で可能だグリップがついた壁を登るスポーツボルダリングも自宅で可能だ

運動できる部屋

 千葉県船橋市の中古マンションの一室では、一風変わったリフォームが行われていた。50代夫婦が住むその部屋には運動するための「うちジム」がある。四畳半の部屋には、数百パターンのエクササイズができる機器「TRX」が天井から吊り下げられ、床にはバランスボールやヨガマット、鉄アレイなどが並ぶ。休憩用のベンチまであるその部屋は、まるでトレーニングジムだ。

積水化学工業 うちジム内には、セントラルスポーツがプロデュースするトレーニングジムがあるうちジム内には、セントラルスポーツがプロデュースするトレーニングルームがある。
このTRXという機器では数百種のトレーニングができる

 実はこれ、積水化学工業がリフォームの新機軸として打ち出した「うちジム」というプラン。自宅の一室を運動ができるジムのようにしてしまうという、昨年11月に発売された新商品だ。

 同社グループのセキスイデザインワークス、谷川剛社長は「健康寿命を伸ばすためには運動が欠かせません。この『うちジム』で健康を維持してほしいというのが狙いです」と話す。

 マンション内で運動するとなると、下の階の騒音が気になるが、防音効果のある「置き床工法」や厚さ12ミリのウォールナットフローリングで対策している。また、もう一つの工夫として、壁に珪藻土を塗っている。調湿効果が期待できるため、空気環境の良い状態で運動できる点も魅力の一つとしている。

 さらにこのマンションでユニークなのは、もう一部屋ではボルダリングができるようになっている。ボルダリングとは様々な形状のグリップがついた壁を登るスポーツ。さらに肋木(ろくぼく)というぶら下がって背筋を伸ばせる機器もある。リフォーム施工費用は2部屋で250万円ほどとなっている。

積水化学工業 肋木(ろくぼく)はぶら下がるなどの運動が可能肋木(ろくぼく)はぶら下がるなどの運動が可能

ジム運営会社とコラボ

 厚生労働省のリポートによれば、日本人の寿命は男性80歳。女性86歳。だが、介助や介護なしで自立できる寿命の平均は男性70歳、女性73歳と、寿命に比べて10~13年ほど短い。この健康寿命を伸ばすことが高齢者はもちろん、これから高齢者になる世代にとっても大きな関心ごとだ。ここに目をつけた。

 同社ではこの自宅にジムを作るというリフォームプランを開発するにあたり、全国約200店舗のスポーツジムを運営するセントラルスポーツ(東京都中央区)と協業。営業本部アカデミー部の大石悦子部長も、高齢者が健康維持のために運動したいという意欲は高いと見る。

 「私たちのジムの会員は約42万人いますが、一番多いのは実は60代の女性なんです。70代も80代もいらっしゃいますし、運動したいと思っている方は多い」(大石部長)。

 ただジムに通って運動する、ということに一定のハードルも存在すると分析する。「家事で忙しく、運動したいのにジムに行けないという方もいます。家に運動できる部屋があればと思う方も多いので『うちジム』の需要はあります」(大石部長)

自宅の庭にもジムを

 冒頭紹介した50代夫婦は、ご主人が脳梗塞になり医者からリハビリのための運動を勧められていた。「健康づくりのために家で運動ができるようにはならないか。子供もいないので面倒はかけられないため健康づくりがしたい」との要望があって実現したものだ。

 積水化学工業住宅カンパニー営業統括部長の桶谷省氏は「高齢化社会の中でお役に立てるサービスだと思います。私どもでは60歳代は健康維持期、70歳代は介護予防期、80歳代は介護対応期と捉え、総合的な住生活サービスを提供していく考えです」と語る。

 さらに今後は「そとジム」というプランも提案していく。自宅の庭などで運動ができるよう外構リフォームの一環として提案していく。うちジム、そとジム合わせ2020年には年間で300件の受注を目指す。

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