リフォーム会社経営は「地域密着」が基本と言われるが、これほど地元に根付いた会社も少ない。大里綜合管理は千葉県大網白里市に本社を置き、毎年4~5億円を安定的に売り上げている。決して都会とは言えない地域でこれだけの売り上げをコンスタントにあげられるのは地域住民のための店づくりにある。
社内には地域の住民たちが手作りしたものを販売するスペースや作業しながら交流できるスペースもある
取材中に続々と来店
「うちの会社は地域の方が気軽に立ち寄れる公民館のようなものだと思っています」。こう話すのが同社の野老(ところ)真理子社長。取材中、地元の家族が次々と本社ショールームを訪れ、「元気にしてた?」「最近見てなかったね」と社長が声をかける。
同社の事業は空き地の管理、不動産仲介、リフォーム・新築を軸とする総合不動産業。「1日にどれだけ人が来るか分からない」と言うほど、会社は地域住民でにぎわっている。その理由は地域住民の生活に根付いた経営方法にある。
例えば取材日に行われていたのは、地域住民による絵画や焼き物の展示会。施設内には「ギャラリー大里」というアート作品の展示場があり、地域の方の発表の場として開放されている。
2階は食堂になっており地域の方が自由に出入りできる
さらにお昼時になると本社2階のレストラン「コミュニティーダイニングおおさと」がオープン。水曜日と日曜日以外のランチタイムに営業しており、地域の方々が続々と来店。社員も利用でき、食事をしながら地域の方との憩いを楽しむ。なんと「お料理を作ってくれるシェフも地元の方」(野老社長)という徹底ぶりだ。
ランチが終わるころに始まったのが、地域の音楽ユニットによるコンサート。これも毎月行っており、当日は20人ほどの住民が演奏に耳を傾けていた。
ランチ後に始まった地域の方々による演奏会
学ぶ「地球塾」や清掃も
地域住民との関わりをつくるイベントはそれだけではない。例えば「地球塾」という名称で行っているのが、様々な知識や知恵を学ぶ講座。昨年9月1日から11月30日まで行われていた講座は、全46講座。例えば、ヨガ、足もみ、骨盤体操、英語、そば打ち、ダイエット、筋トレ、などなど多種多様。講師も学ぶのも、地域の住民。「地域の方々の数だけ知恵や経験がある。それを分け合おうというのが狙いです」
地域のための活動は、会社外にも飛び出す。「クリーンロード」と呼ぶ地域のメーンストリート、約12キロを毎月7日に清掃している。地元で商売している方とともに、毎回10~50人ほど。これは15年ほど前から行っている。それ以外にも学校のトイレ掃除、海岸のゴミ拾い、13カ所の駅前の清掃なども行っている。

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