ロンドンデザインフェスティバル2018リポートvol.2
「強い色×多色使い」のトレンド
ロンドンデザインフェスティバル2018の第2回目のレポートは、赤、緑など原色を使った強い色とインパクトのある多色使いに見られるトレンドについて紹介します。
ダークグリーンと深いレッドの色使い。ヴィクトリア時代に流行った色使い
富と栄光の象徴が今なお色づく
赤、青、緑、黄といった、はっきりした色を何色も組み合わせるといった色使いが、コーディネートにおいても商品単体でも多く見られました。色ごとに見ると、トーンは抑え気味ですが、インテリアで使うには十分に主張があり、多色で使われるとかなりインパクトがあります。
これだけ色を使ってもまとまりを出せる感性はさすがと感心するところですが、好みは分かれるでしょう。色数が少ない日本の住空間で取り入れるのは難しいのではとも思います。
多色使いがかなりのインパクト
個人的な見解ですが、多色の中でも多く見られた色が、連載第1回目でも挙げたダークグリーン、それと深いレッドです。実は、イギリスで同じような色使いが流行した時代が、産業革命でイギリスが世界経済で最も優位に立ち繁栄したヴィクトリア時代(1837~1901)です。
この時代のインテリアをよく表している例として、ロンドンのシャーロックホームズ博物館で見られるホームズの家が挙げられます。
シャーロックホームズは、この時代に大ヒットした小説で、ホームズの家では、ヴィクトリア時代の暮らしが物語に忠実に再現されています。ロンドンへ行かれる際には、ぜひベイカー・ストリートにある博物館を訪れてみてください。
濃いグリーンやポンペイレッドといわれる深い赤、全体的にダークな色調、ごちゃごちゃした印象、ヴィクトリア時代のインテリアにはこういった特徴がありますが、どこか今年のトレンドに表れている気がします。イギリスにとって富と栄光の象徴であるヴィクトリア時代に流行した、今なおイギリスらしさを思わせる色使いが、今年のトレンドと関連性があるとすれば、いよいよBrexitが来年に迫るイギリスにおいて、誇りと勇気を与えようとするひとつのムーブメントではないかという気がします。
トーンは抑え気味だが、主張している生地と壁紙
菅原貴美子
interior design ENTRE DEUX(アントルドゥ)主宰
二級建築士/インテリアコーディネーター
立教大学卒。住宅メーカーの営業として勤務後、早稲田大学専門学校(現、早稲田大学芸術学校)建築科にて建築デザインを学び、卒業後、二級建築士に。建築設計事務所、不動産ディベロッパー、インテリアデザイン会社等にてこれまで10年以上住宅の設計、インテリアコーディネートに携わる。台湾在住経験あり。現在は年に数カ月をオランダで過ごし、さまざまな暮らしやインテリアに触れるとともに、その人らしさが表れる住まいをコンセプトにインテリアの提案をしている。
↓ 「ロンドンデザインフェスティバル2018」の記事はこちらから
この記事の関連キーワード : インテリア トレンド ロンドン ロンドンデザインフェスティバル

最新記事
この記事を読んだ方へのおすすめ
-
1653号(2025/06/16発行)4面
-
1653号(2025/06/16発行)4面
-
1653号(2025/06/16発行)1面
-
1653号(2025/06/16発行)10面
-
1653号(2025/06/16発行)2面