【実態調査】成約率を上げるには3種のグレード別見積もり提出で

リフォーム業界の実態を明らかにする企画。今回のテーマは「見積もり」の3回目。各社どのように見積もりを作成しているのか、6社に調査した。

K's-tec
3種類の見積もりを準備、断熱工事をマストで提案

滋賀県を地盤とし、リフォームを手掛けるK's-tec（愛知郡）は、断熱がからむ工事では見積もりを3種類作成している。

サービスの松竹梅を作るイメージで、バスリフォームなど断熱工事を行う際に制作。細かいヒアリング前に見積もりを持参する場合に用意する。「事前に細かい部分のヒアリングがない場合、持っていきます。リフォームで何を重要視されるかによりますので、価格や性能など施主様の思いを見積もりと併せてご説明します。初めに明確化し、打ち合わせを進めていけるようにするために準備しています」（小杉裕紀社長）

同社の見積もりは細かく、どこを聞かれても根拠を話すことができる

見た目だけで性能が伴わない工事は極力避け、最低レベルの断熱は施工をお願いする。

例えばユニットバスと洗面化粧台のリフォームの場合、ユニットバス周りの躯体は後で断熱工事をすることは難しい旨を説明。

「ユニットバス下の基礎断熱はどのパターンにおいても施工しています。既存壁がブロックのタイルの場合、熱抵抗値を最低2・3は確保するため、高性能の発泡プラスチック系の断熱を使用する。その結果、ユニットバスの有効寸法を確保できるようなご提案をしています」

2つ目が脱衣所の床下に断熱材を入れる工事。3つ目は脱衣所ごと断熱改装する内容だ。

また、解体時によく見受けられるのが、断熱や防湿施工がしっかりされていないこと。袋入りのグラスウールが、適当にタッカーでとめてあるだけなどだ。

「その場合は、防湿層なしのグラスウールを充填して、別貼りの防湿気密シートを貼って石膏ボードでおさえています。発泡プラスチック系で充填断熱されている場合は、状態をみて防湿気密シートを貼って石膏ボードを貼っています」

見積もりは事務2人を中心に作成し、一式で出すことはない。工事別で記載されており、材料費、木1本の値段から諸経費の内訳も出す。

束などの建材、材料費は、職人によって使用量が違うので、職人ごとに確認。どの工事にどれだけかかるかを決めることで、より正確な見積もり作りを心がける。その結果、見積もり時の粗利益と完工利益の差がほぼない。

「見積もりを見せる際に、家の図面とカタログも持っていきます。それは、イメージのずれをなくし、リフォーム予想図を伝えるため。併せて、工事の時に起きる不便さも話します。バスリフォームで脱衣所も工事する場合、洗濯機を一時的に外しますが、図面を一緒に見せて話すと納得いただけます」

現在、建築資料研究社（東京都豊島区）の見積もり作成ソフト「みつもり主任」を採用している。今年からは、IT補助金を活用して福井コンピュータアーキテクト（福井県坂井市）の「ARCHITREND ZERO Ver.7」を導入。正確性と作成時間の短縮を目指している。

「時間を管理して、どこにどれだけかかっているかを確認したいと考えています。例えば、キッチン、バスだけのリフォームなら約3、4時間で作成できます。ただ、お客様ごとのオリジナル見積もりなので、さらなる時間短縮をしたい。福井コンピュータアーキテクトを導入したのは、概算作成の時短と、概算説明をする際に生かせると考えたからです」

見積もりは月間で2、3件ほど制作しているが、受注率は100％。商談の段階である程度絞ることもある。

「金額ありきのお客様とお話ししても、なかなか価値観が合わずお互いが苦労することが多いのです」

実際に入浴可能なバスショールーム