リフォーム業界の実態を明らかにする企画。今回のテーマは「見積もり」の3回目。各社どのように見積もりを作成しているのか、6社に調査した。
《質問項目》
(1)リフォーム売上高
(2)平均単価
(3)受注率(見積もり提出に対する契約率)
(4)月にどれくらいの見積もりを作るのか
(5)見積もり作成にかかる時間
(6)見積もりを早く作るための工夫
(7)見積もりの説明の工夫
(8)諸経費の説明の仕方
(9)粗利益の乗せ方
(10)値引きのルール
(11)見積もり提出のタイミングで意識していること
(12)過去の見積もりの活用どうしている?
(13)失注後の改善
サニー建設商事
見積もりは学生バイト5人と分担、営業マン1人1億円の生産性に
外壁・屋根塗装を手掛けるサニー建設商事(佐賀県佐賀市)は、見積もり業務を学生バイトと分担することで、営業マン1人で年間1億円を売り上げている。
同社では中津隈裕専務1人が、ヒアリングと現場調査とプラン提案、さらに施工管理も行う。佐賀大学の学生アルバイト5人に、見積書と診断書の作成を任せている。現在はリモートでやりとりしている。
初回訪問~提案までかかる日数は、約1週間だ。ヒアリングの際に、次回訪問の日時を決めスケジュールを組む。ヒアリングと現場調査をした当日から翌日までに、作成の依頼をする。連絡手段は学生が使用しているツールに合わせ、チャットワークやスラック、Asanaと対応。締め切り日は4~5日後だ。学生からもらった書類は必ず最終チェックをし、1~2日後に提案する。
「ダブルチェックができることで、ミスを減らせます。また、明日提出する見積書があるからはやく終わらせたいなど気をとられず、聞き漏れや測り忘れといったトラブルも防げます。営業活動に専念できることで、お客様の要望に合う提案ができます」と中津隈専務は話す。
分担体制では「値引きしてほしい」といった追加の修正をすぐに頼むことが難しい。そこで同社では、値引きキャンペーンを随時開催している。
紹介してくれた顧客にギフト券、紹介を受けた顧客には10万円を割引く「ご紹介割」、実家をリフォームしたい子どもに8万円を割引く「親孝行割」、インターネットから申し込むと5万円を割引く「ネット割」だ。これらのキャンペーンは「いつでも割」も併用可能。工事依頼日より6カ月以内にいつ工事をしてもいい場合、2万円を割引く。
「キャンペーンを利用するお客様が多く既にお得感を感じてくれ、値引き交渉をしてくることはありません。さらに顧客の6割が新規客で、引き寄せの効果もあります」と中津隈専務。
学生が作成しやすいよう、見積書の項目は詳細に記載するよう統一している。外壁塗装の場合、「足場代」「メッシュ」「高圧洗浄」「下地処理」「養生」「塗装(3回塗り)」がセットになっている。一式と表記せずそれぞれ項目を設け、面積によりいくらかかるか掲載する。
例えば「足場」の項目の場合。単位「平米」数「130」とした上で、単価「700」、金額「9万1000」と説明する。
また下地処理を追加するなどイレギュラーな対応をする場合は、最終チェックの段階で中津隈社長が追記する。アルバイトにはプランごとに決まっている平米単価ごとの項目を入力する作業のみを任せる。伝達ミスや混乱が発生しないよう工夫。
「工程ごとにさらに1平米ごとにいくらかかるのかわかりやすくすることで、お客様も理解しやすい。弊社では月の見積書の作成数10件中約8件が受注し、成約率は8割と高いです」(中津隈専務)
見積書は「プラン」「付帯工事」順に記載
(1)1億円
(2)100万円
(3)80%
(4)10件
(5)1~2時間
(6)フォーマットに基本事項を入れるだけにしている
(7)診断書と共に説明
(8)廃材処分費、 運搬費として掲載
(9)各項目ごとに乗せ均等に35~40%
(10)値引きすることはほとんどない
(11)特になし
(12)OneDriveのクラウドで管理
(13)必ず理由を聞き、今後に生かす

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