森住建
3パターンの3Dと図面で口説く
「要望満たしているか」、3度は質問繰り返す
森住建(岐阜県岐阜市)は2020年9月期のリフォーム売り上げが5億円で、今期は7億円に達する見込みとなった。800万円の引き合いが前期90件ほどだったのが、今期は130件、受注も20件未満だったのが35件に増加した。
3種類あるパターンのうちの2種類。リビングを吹抜けにし、梁や丸太もあえて見せ、アイアンのスリット階段を採用した下のパターンを採用
その大きな理由は、同社のプレゼン力にある。同社では、600万円以上の案件の場合、パースと平面図をそれぞれ3パターン出すことを徹底している。1パターンだけでは顧客が首を傾げることもあるため、もうひとつパターンを用意する会社は多くある。だが、同社ではそれでも不十分だと考え、3パターン目まで出す。
ポイントは、いずれのパターンも、ヒアリング時に得た顧客の要望、困りごとの解決策が全て反映されていることだ。例えば、「収納を2倍にしたい」、「母の部屋の隣にトイレを設置したい」というような細かな要望が、10個あれば10個全てに応えられる設計にしている。お客様からは「他社にもお願いしたけれども『10個要望を出したところが、反映されているのは7個くらい』という話を聞きます。弊社では『3パターンとも全部要望が叶えられていて、選ぶのに迷う。どうしよう』と、おっしゃっていただくのを目標としています」と、リノベーション事業部長の久野哲宏氏は話す。
顧客の要望を全て満たしたうえで、3パターンはそれ以外の部分で差別化する。例えば、デザインやテイストなどだ。価格で優劣を作ることはしない。
プレゼン時に設けているルールもある。提案した図面で、顧客の要望や困りごとが解決されているか、という確認を最低3回は、行うことだ。たとえ、「問題ない」という回答が得られたとしても、「本当にもうないですか?」と念押しする。「実は段差が気になっていた」などの新たな課題が浮かび上がることも。そうした要望を踏まえた見積書を出すことで顧客満足度を高め、生涯顧客の獲得にも結び付ける。

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