ピンチをチャンスに。コロナ禍で大きく会社のあり方を見直し、苦境を脱したのが東陽住建(愛知県一宮市)だ。同社の2020年10月期の売り上げは7億2000万円だったが、今期は8億円を超える見込みとなった。約1年前はコロナの影響もあり、受注が止まったという同社。どのように復活を遂げたのだろうか。
【リポート/編集部 芦原拓】
コロナ禍でOB客にメッセージ性のある手紙を送り、危機を脱した
地域シェア16%に
きっかけは、OB客2300組に向けて手紙を送ったことだった。顧客の名前は全て社員による手書き。水まわり住設の不具合などを見るための「住まいのチェックシート」を同封。加えて手紙にあるQRコードを読み込むと、近況や困りごとを入力するアンケートの画面に飛ぶ。これに大きな反響があった。
「何をするにも手探りな状況でしたが、むちゃくちゃな数の問い合わせがあり、驚きました」と、中井義也社長は当時を振り返る。手紙では「コロナ禍での『家』の大切さ」を説くとともに、「リフォームの相談には、優先的に対応する」というメッセージを加えた。これが、消費者の心に響いた。社員全員で問い合わせがあったOB宅を訪ねたところ、畳の張り替えや蛇口の交換など数万円の工事から単価500万円以上の間取りの変更まで大小さまざまな注文が相次いだ。「『コロナで大変だろうから』と、わざわざ注文するものがないか、お探しいただくお客様もいて、感激しました」
この手紙の効果に手応えを得た中井社長は、販促手法を180度転換することに決めた。かつては名古屋や岐阜といった周辺の都市部までを商圏範囲に含めていたところを、地元の一宮市のみに限定。5万部の折り込みチラシを9000部に減らした。さらに店舗周辺の1000世帯に月に2回、社員全員でニュースレターのポスティングを行うことにした。

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