クローズアップ建材 塗料の基礎知識
まず、塗料を構成する要素は、合成樹脂・添加剤・顔料の3つ。顔料は色やツヤを出し、添加剤は塗膜を均等にして機能を付加する。そして、合成樹脂は塗料の耐久年数を左右する重要な役割を果たす。
塗膜を作る主原料は、アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素と大きく4つの種類があり、順に耐久性が高くなる。さらにこれらは、塗料を薄める液である溶媒によって、水を混ぜて用いる水性塗料とシンナーなどの有機溶剤を用いる油性塗料に分けられる。
水性塗料は比較的安価で臭いがなく、耐久性は油性塗料に劣るものの、最近では高耐久の商品も出回っている。油性塗料は、さらに耐久性が高いものが多い。現在、外壁屋根塗装の主流はシリコンのほか、フッ素にもネックとされた価格を抑えたものが登場して普及が進んでいる。
最近では、より高耐久な「機能性塗料」も出回っている。光触媒は、太陽光で汚れを浮かせることで雨で流し落とすセルフクリーニング能力がある。施工の難易度と価格は高いものの、従来の塗料に比べて耐久年数が長く、長期間にわたって美観を保つことができる。
ラジカル制御型塗料は、主成分のアクリルやシリコンに含まれる劣化因子であるラジカルを制御するために、高耐候酸化チタンを配合したもの。塗膜が紫外線や風雨などで劣化しにくく、塗装の寿命が長い。価格は、シリコンに比べて若干高いながら耐久性が勝るため、今後主流になるとも予想されている。
無機塗料は、セラミックやケイ素など、炭素を含まない無機物を配合したもので、紫外線に強く、塗料のなかで最も耐久性が高いとされている。
このように、以前に比べて塗料の種類やグレードも細分化されている。価格や用途面で選択幅が広がっているため、性能や施工性とのバランス、塗り替えにかかるコストや施主のニーズなどを踏まえて、最適なものを選ぼう。
最新記事
この記事を読んだ方へのおすすめ
-
1632号(2025/01/13発行)10面
-
1632号(2025/01/13発行)1面
-
1632号(2025/01/13発行)5面
-
1631号(2025/01/06発行)22面
-
1632号(2025/01/13発行)2面