カスケホーム(岡山県倉敷市)は、岡山県全域で総合リフォーム事業を5店舗、水回りサポート専門店1店の計6店舗を展開する。年間工事件数は3500件で、平均工事単価は60〜70万円。今期のリフォーム売上高は前年比112%の21億円を見込んでいる。同社は2019年ANDPAD施工管理を導入。
その後もANDPAD受発注やANDPAD引合粗利管理など立て続けに、建設プロジェクト管理サービス「ANDPAD」製品を導入している。今後、新たな店舗展開をするうえでも欠かせないANDPADの存在と今後の展望について、カスケグループ 安藤辰代表取締役、カスケホーム 倉森仁司代表取締役、工務部 原田健児部長に聞いた。
カスケグループ 安藤辰代表取締役(中央)、カスケホーム 倉森仁司代表取締役 (左)、工務部 原田健児部長(右)の3名に話を聞いた。
クラウド化の必要性を感じてDXを推進
同社がANDPADを導入した2019年以前、協力会社や職人とのやり取りは電話やファックスが中心で、情報共有のやりとりに多くの時間を要していた。「地図ひとつでも、職人さんや電気屋さんなど7,8カ所宛てにファックスを送っていました。その作業で22時以降になることも多くありました。」(倉森社長)
「ANDPAD施工管理」導入後、現場情報が一つにまとまることで、そういったファックスでのやりとりや、現場への移動時間が削減した。
その後同社では「ANDPAD受発注」「ANDPAD引合粗利管理」を導入。
「クラウド管理の必要性を感じて導入を決めました。それまで見積りや売り上げ見込みなどは別のシステムや表計算ソフトで管理しており、現場から事務所に戻らないと状況がわからない、営業の発注状況を経理が把握できていないなど、社内の連携がうまくいっていなかったです」(安藤社長)
導入後は、ANDPAD内で案件に対する現場の進捗や受発注の情報が連携されることで、経理担当者が原価や納期といった「数字の根拠」を把握することが可能になり、関係者間のコミュニケーションが取りやすくなったのも会社として大きな前進につながった。また、クラウド化されたことで、スタッフのリモートワークにも対応可能になった。
ANDPAD導入当時を語る倉森取締役本部長。導入後、現場進捗の社内確認がスムーズになったという
業務効率化のコツは「慣れるまでやり切る」こと
同社は多くの社内スタッフ、協力会社がANDPADを使いこなし、情報が入力されていることも特徴だ。
会社全体での活用について、安藤社長は「すべてANDPADに移行させることには社員からの戸惑いや不満もありました。しかし、使いこなせないことには始まらないので、約1年間の移行期間を設け、導入推進者幹部が率先して操作方法をしっかりマスターして皆に根気強く教えていったら、半年過ぎたくらいでそうした声も消えました。とにかく、慣れるまでしっかりやり切ろうと心に決めていたんです」と導入当初を振り返る。
安藤辰代表取締役は、自社で掴んだ業務効率化のコツについて熱く語る
原田部長も「どんな良いシステムでも活用しないと意味がありません。ここをどう操作すれば見たいものにたどり着けるか、スクリーンショットを撮ってチャットで共有などして、手探りで推進していきました。僕らの部署は本来施工管理が担当ですが、営業が使う引合や発注に関する操作もまずはやってみることで、一通り扱えるようになりました」と話す。全社員が支障なく使えるようになるまで徹底することで、スムーズな業務効率化を実現させた。
一気通貫の業務管理で労働時間の効率化を実現
同社では、顧客からの問い合わせに始まり、案件発生と見積もり、現場管理、引渡しから経理による入金処理まで一連の業務をすべてANDPADで完結させている。さらに、契約書などの帳票関係などもANDPAD内に移行させた。全社員が支障なく使えることで、スムーズな業務効率化を実現させた。協力会社への発注ミスなどのチェックも可能になり、粗利率の低下も防げている。
「導入当初は情報の入力率が低かったこともあって、ANDAPD上で表示される数字を改めて、エクセルにも入れ込んでいましたが、現在はスタッフの入力率が上がり、ANDPAD上に正しいデータが表示されるようになりました。完工見込みや反響率など、店舗や会社全体の数字を一目で把握できます」(安藤社長)
同社が利用するANDPAD引合粗利管理の画面。全店舗の完工管理が可能になったことで一目で進捗がわかるようになった
ANDPADの導入により、労働時間内で各人がどこに力点を置くべきか選べるようになった。導入以前は「これも業務のうち」と当然のように受け入れていた作業が効率化されることで、同じ8時間でもやれることが増え、時間の質が変化したことを多くの社員が実感している。残業時間も、導入以前は1人当たり月平均40〜50時間が当たり前だったが、10時間以上は削減できたという。
倉森社長は「外出先からスマートフォンやタブレットでANDPADが開けるので、会社に帰ってからやっていた資材発注やFAX連絡が減り、17時には帰れるようになりました。これだけ件数を手がけている会社では、なかなかないと思いますよ」と力を込める。
顧客への利便性と満足度向上の一環として、「ANDPADおうちノート」や「デジタルサイン」機能も導入した。「ANDPADおうちノートは、お客様に現場の状況を写真付きで定期的に送れるので好評ですし、工事後アフターメンテナンスなどに繋がるコミュニケーションの繋がりも生まれやすいです。デジタルサイン機能は、小工事でもお客様に完了報告書へのサインをしてもらうことでトラブル回避にも役立ちますし、今後も積極的に活用していきたいと思っています」(原田部長)
「デジタルサイン」機能は、ANDPAD上で作成した報告書に手書きのサインを入力できるため、書類の持参や保管の手間を不要とし、紛失のリスクを解消可能だ。
地域で一番先を行く 社員が「稼げる会社」に
同社は、2028年期末までに水回り2店舗と総合1店舗を増設して、計9店舗で売上高25億円、粗利率35%を見込んでいる。
また、社員への還元にも力を注ぐ。来年度からは個人の粗利率に対して賞与を払う仕組みに変えていく。報奨・労務面でも、裏付けとなる実績のデータがすべてANDPAD内に蓄積されるようにして「一人ひとりが稼げる会社」を目指す。
「やったことに正当な対価を支払える仕組みを作らないと、採用もできません。これまで以上に社員個人に対して還元することで『続いていく会社』になることが目標ですし、良い仕事をした人に多めの給料を払えた方が良いでしょう。今後、よりリフォームやリノベーションの価値は上がってくと思いますし、少なくとも岡山県では品質で一番先を行っていたい。そのためにも、DX によって社員1人あたりの生産性と給与を上げることが必要です」(安藤社長)
株式会社アンドパッド
(東京都千代田区)
TEL: 03-6831-4551
「ANDPAD」は現場の効率化から経営改善まで一元管理できるシェアNo.1※クラウド型建設プロジェクト管理サービスです。2016年に提供を開始し、直感的で使いやすさにこだわった開発と導入・活用への徹底したサポートで、利用社数21.6万社、ユーザー数55.0万人を超えています。国土交通省のNETIS (新技術情報提供システム) では「令和6年度推奨技術」に選定されています。
※『建設業マネジメントクラウドサービス市場の動向とベンダシェア(ミックITリポート2024年12月号)』(デロイト トーマツ ミック経済研究所調べ)

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