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住めなかった空間がエコな子供部屋に

住めなかった空間がエコな子供部屋に

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 夏場は住めなくなるほどのコンクリート住宅がエコハウスに―――
東京の国立で住まい改善に取り組んだ1軒の住宅を訪問した。断熱材がなく真夏にはピザ釜状態だった家が、どのように変わったのか。その軌跡を取材した。

オーナーの磯貝左千夫氏
オーナーの磯貝左千夫氏

 「夏の1カ月半、3階には住めません。2階の居間で寝ています」。南武線の谷保駅のすぐ近く、歩いて5分の場所にRC造の磯貝邸がある。同物件は今から15年前に竣工。地下1階の3階建て。面積63坪の邸宅だ。一見コンクリート打ちっぱなしの外観、内装は、先進的なスタイルだが、「住み心地は最悪」とオーナーの磯貝左千夫氏は話す。

建物は築15年のRC造
建物は築15年のRC造

 夏はコンクリートが触れないほどの温度となり、最も影響がある3階は、春秋以外、人の住めない場所であった。

 住み始めてから15年。子供部屋を作るため、磯貝氏はついに改修を決意。自身がコンサル(会社名ジェイボックス)の仕事で回った100件以上の工務店のノウハウを集約したリフォームを4月から始めた。第一に取り組んだのが断熱材の施工だ。

 「この断熱材を施工していれば小屋裏に一日大工さんが入って作業しても大丈夫」との情報のもと、日本パフテムの現場発泡断熱材パフピュアーを採用した。熱伝導率は0.034W/(m.K)という性能を持つ。これを3階の壁に50mm、天井に100mm吹き付けた。そして床下はグラスウールを施工した。

 断熱材の上には遮熱のため、酒井化学工業のラミパックSD-Wを施工。その上に、調湿材として日本インシュレーションのバウビオまたはプラスターボードを施工した。バウビオは吸湿速度の速さが特徴。一瞬で自身の重量以上の水分を吸収できる特徴を持つ。

 そして最後は、原田左官工業のオリジナル漆喰「フルーフレ」で仕上げた。パルプが入っていることが特徴で素人でも塗れる材料となっている。

 また、フローリングは、杉岡製材所の無垢フローリング「のどか」を採用した。複数の無垢商品を取り寄せたうえ、普段裸足で過ごす娘が「一番温かい」といった言葉が決め手となった。製品は厚み27㎜、九州産80年以上の高齢杉白太だけを使ったこだわりの商品で、坪単価は2万8000円。浮作り仕上げとなっていて裸足になるとその滑らかな肌触りが良く分かる。仕上げはエゴマ油を家族みんなで塗装した。

裸足でも温かい杉材のフローリング
裸足でも温かい杉材のフローリング

 物件完成が近づいた6月2日から3日間、設計事務所や工務店の担当者らを呼び、物件紹介勉強会を開催。約30人が来場した。夏本番はこれからだが、6月現在、住まい環境は快適に変わった。住めない住宅がまさにエコハウスへと変貌を遂げた。

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