「50万円台のエクステリアは負けない」
鳥取県で年商12億円、リフォーム6億9000万円を売り上げるのがフィディア(鳥取県米子市)だ。54年前、地元の公共事業を請け負うゼネコンとしてスタートした同社は、16年前にリフォーム事業に本格参入。4拠点を構える企業までに成長した。
エクステリア起点に内装まで提案
同社のリフォーム売上高のうち4割がエクステリア、外構工事だ。これは、創業時から公共事業で行ってきた土木のノウハウを生かすために力を入れてきた事業だからだ。
エクステリアは同社の肝。近隣にも相見積もりになるような事業者が複数いる中、同社が勝ち抜く戦略は、50万円前後の工事を失注しない、ということだ。
「50万円台のエクステリア工事といえば、カーポートと床のコンクリート化が中心になります。提案から契約まで3日と手離れもよく、粗利も3割は稼げる、当社としては非常に取りたい案件です。ここは絶対に負けないようにスタッフに指導しています」(福井龍介社長)
38回もリピートするコアなファンも
提案が短い日数で済むことは顧客の負担も少なく、また高い満足度を得ることができる。それが、リピート受注を引き出すことにつながっている。
同社のリフォーム売上高に占めるOB比率は前期で62%。4年前は27%だったことから、OBの占める割合が倍以上に伸びた。これは、5年前から取り組んでいるOBのデータベース化が奏功している。同社は5年前に過去のOBの台帳をデータベースに移管し、随時追加している。
データベースの特徴は顧客ごとの工事の履歴がすべて出ることとクラウド化し、スタッフが外出先のスマホでも見れるということだ。
現在は8000件がデータに登録されている。
「1回でいくらの工事が取れたかよりも、顧客との縁をつくることを優先するようにスタッフには伝えているんです。たとえ小口でも、顧客リストが増えれば増えるほど次の工事の受注が期待できますから」(福井社長)
エクステリアをきっかけに結びついた、コアなリピーターも登場している。なんと38回もリピートしている顧客もいるという。1件1件は少額だが、安定して受注できることがメリットになっている。
専門サイト続々立ち上げ
集客も、手書きチラシに依存する体制から転換を図っている。2014年からウェブサイトの整備を行っている。
具体的には、専門サイトの立ち上げだ。エクステリアと外壁塗装のサイトを先行してオープンし、今年10月1日は水まわり専門のサイトも立ち上げた。
「今や50代の方でもネットで検索して問い合わせる時代です。当然、したい工事をキーワードで検索します。専門サイトの開設はそこで上位に表示させることが狙いです」(福井社長)
サイトの特徴は主に3つある。1つ目は、同社のブランド「ホームデコ」を冠していること。2つ目が施工事例を豊富に掲載すること。3つ目が工事付きで商品価格を表示することだ。ネット検索のために、初めて閲覧しても分かりやすいようなサイトづくりを目指している。
前期ベースではすでに売上の3割がネット経由だった。外壁塗装に至っては6割強がネット受注によるもの。近いうちにネット受注がリフォーム売上全体の5割を超えると同社は予測している。
企業連携でブランド拡大
専門サイトの立ち上げに合わせて、同社は企業連携を活性化させている。同県東部の井戸垣産業(倉吉市)と連携し、専門サイト経由で問い合わせてきた顧客を両社のサービスを展開するエリアで分けている。
井戸垣産業もホームデコをブランド名称として掲げており、ホームデコは鳥取県全域に展開するブランドとなった。
「全国の大手企業が鳥取県に進出する中、地元の発信のブランドとして信頼と安心を獲得していくことが目的。協力してホームデコを県内全域に広めていきたい」(福井社長)
両社は、2009年から連携し、合同で研修するなど企業交流をしてきた。
【会社概要】
会社名 フィディア
会社設立 1962年10月1日
代表者 福井龍介
本社所在地 鳥取県米子市
資本金 3,300万円
従業員 36人(うち女性24人)

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