学校のリフォームが変わり始めている。これまで「耐震化」を軸とした改修だったが、現在は長きにわたって利用するための「長寿命化」に加え、地域の他の施設との連携による「複合化」が進められている。学校の改修の今をリポートする。
「阪神・淡路大震災以後に進められてきた小中学校の耐震化がひと段落つきました」。こう話すのは学校の改修に詳しい文教施設協会(東京都港区)の事業・管理部長の縄手雅史氏だ。
同氏によれば「旧耐震物件の保有面積の98%の耐震化が終わり、平成27年度では小中学校の耐震関連の補助金も終わった」という。では学校改修の次なるステップは何か。キーワードは「長寿命化」だ。
脱「建て替え」へ
「平均約42年で建て替えという考え方だったのですが、70~80年以上に伸ばそうという考えが広まってきています。やはりその理由は建て替えに比べてコストが安いこと」
建て替えとリフォームのコスト比較についての試算も文部科学省からでている。平成25年度から今後30年間、学校を建て替えすれば約38兆円かかるが、改修なら約30兆円に抑えられるという。
一般住宅と同じで学校もスクラップアンドビルドをやめようという流れだ。
機能向上を
ただ、改修は原状回復ではなく、以前の状態よりも機能や性能を向上させていくことが求められていると縄手氏は話す。「例えば省エネ対策もまだ十分に進んでいません。窓も一枚ガラスが普通で、断熱もあまりされていないため夏は暑く、冬は寒い。元に戻すリフォームではなく性能をよくすることも長寿命化には欠かせない」
また、長持ちさせるには計画的なメンテナンスも必須。これは何か起きたら直すではなく、起きる前に予防するための管理体制を築くこと。例えばマンション管理の現場で行われているような長期修繕計画を学校のメンテナンスにも導入し、中長期にわたる整備計画をきちんと作成していくことなどが求められている。

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