健康のための室温は「18度」が基準
「比較的温暖な国の方が冬の死亡率が高い」。こう話すのは東京大学名誉教授の村上周三氏。1月30日に行われたスマートウェルネス住宅等推進調査委員会にて語った。
村上氏によれば、ポルトガル、スペイン、ギリシャ、イタリア、そして日本といった比較的温暖な国の方が、ドイツ、デンマーク、フィンランドといった寒冷国に比べて冬季の死亡率が高いという。その理由について「暖かい国は寒さに対して油断がある」と語る。日本でも同様の傾向が見られ、冬季の死亡率が最も低いのが全国的にも寒い地域といえる北海道で、最も高いのは比較的温暖な栃木県となっている。「例えば北海道のような寒いエリアほど高断熱住宅が普及しており、普及地の冬の死亡率は低い」。一方で、温暖なエリアは対策が不十分なため死亡リスクが高まる、これが「油断」だ。
中でも冬季は入浴中の急死者が多いと指摘する。理由は血圧の急変化によるヒートショックだ。冬場では特に服を脱ぐと血圧が急上昇し、体を洗っている最中にはさらに上がる。ここで脳卒中のリスクが高まる。その後、浴槽内に入ると今度は血圧が急に低下して、溺死リスクが高まる。脱衣所に出て着衣時はまた血圧が急上昇し、入浴後は急激に下がるという、血管の著しい伸縮による血圧の大変動が起こる。「夏に比べて変動が大きく、冬場は特に脳梗塞、脳出血を引き起こす危険性が高い」。対策としては断熱改修がその一つと指摘。室内の温度を高めることで、血圧の大幅な変動をなくす。

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