島根電工 荒木恭司社長
人口と県民所得が全国46位の島根県。こんなビジネスの難しい環境下でリフォーム売上が70億円を超える企業がある。島根電工(島根県松江市)だ。同社は、「住まいのおたすけ隊」というブランドで県内13拠点でサービスを展開する。なぜ地方でこれほどの規模で売り上げられるのか。荒木恭司社長に聞いた。
100万円未満の工事で34億円
――「住まいのおたすけ隊」というサービスを展開していますが、これはどのようなサービスですか。
一般のお客様が住宅のことで困ったことがあれば当社にお任せください、というものです。消費者の皆さんにはおたすけカタログというものをお配りして訴求しています。
――カタログを見ますと、水まわり関係で25種類、電気関係で24種類のメニューがありますね。
よくある相談や工事内容をまとめています。例えば、「蛇口を締めてもぽたぽた水が止まらない」という相談に対してなら「ケレップを取り換えて水道代も節約」といったように分かりやすい解決法を示すとともに、工事費も含む金額を載せています。
――そのような、お悩みにこたえる工事ですと単価が低いのではないでしょうか。
われわれはリフォームで70億円売り上げているのですが、100万円未満の工事が34億4000万円、3万3000件あります。当社で「諸口工事」と呼んでいるのですが、その34億円のうち、10万円未満の工事が9割を占めているんですよ。
――それ以外の36億円は。
住宅の100万円を超えるリフォームや民間施設などの改修ですね。例えば大型ショッピングモールの照明の交換などの請負もそれに入ります。
提案ツールには小工事ばかり紹介されている
初回の訪問で集金まで
――少額工事は、普通のリフォーム会社ならば効率も悪く、利益にならないので、あまりやりたがりません。
ですので、少額工事に関しては訪問回数を減らすことで効率化を図っています。その方法の1つが当社で開発した「サットくん」なんですよ。「サットくん」は、工事の見積もりがその場ででき、請求書の発行までできるという端末です。それをお客様に見ていただいて、納得を頂ければ契約。支払いまでをその場で済ませていただきます。そうすると早ければ当日にも工務のスタッフが訪問して工事をするという形にしているんです。
――普通の事業者は、会社に帰って見積書を作って、後日改めて訪問しますよね。
「サットくん」導入前は1件1件、営業マンが1度訪問をして、会社に戻って見積書を作り、再度訪問をして契約という形を取っていました。そのため、夜遅くまで会社に残って仕事をするのが半ば当たり前でした。遅いと当然、お客様の印象も悪くなります。しかし、「サットくん」を使えば、その場で金額を提示できます。お客様も今日来て、今日支払って、今日直すという形であれば安心してもらえますね。これを当社の100人以上いる営業マン全員に常時持たせています。
「サットくん」によって現地で見積もりを作ることができる

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