UDS 梶原文生 会長
キーワード:インバウンドで
「リノベーション」ホテルを次々と生み出しているのがUDS(東京都渋谷区)だ。老朽化したビルを海外観光客向けの人気のホテルによみがえらせるなど数々の再生を手掛けてきた。その実績は国内トップレベル。さらに運営まで手掛けるビジネスモデルは
異例。人気ホテルを生み出せる理由を梶原文生会長に聞いた。
浅草にあるBUNKA HOSTEL TOKYO。©Shiori Kawamoto
新築でも中古でもない
――1992年に設立された都市デザインシステム(Urban Design System)が前身で、当初は主にコーポラティブハウス事業等に取り組んでいたかと思いますが、なぜホテルのリノベーションに取り組み始めたのでしょうか。
日本の人口が減少していくということに危機感がありました。65年後に人口が半分くらいになるという予測はすごくインパクトがある数字。新築ばかり建てていては家が余ってしまう。もちろん新築も大事です。が、すでにある古い建物を生かすことがより大切なこと。ただし、単にリフォームする、というのではなくて、「古いものの価値をいかして新築にはない価値を出す」ことが大事で、そうでないとこの市場は伸びないと思っていました。だから私どもは新築でも中古でもない第三者の立場をとろうと。そういうことを具体的に表現するには何がいいのかと考えたときに、ホテルの再生だと。ホテルは歴史や古さに価値が出る傾向がありますからね。
――今、運営も手掛けるホテルは7カ所あります。企画設計を含めると過去にどれくらいの実績がありますか。
20くらいはありますね。第一号物件が東京・目黒の「CLASKA(クラスカ)」です。これは海外でも賞を取って評価されました。元々は東京オリンピック開催に合わせて建てられたビジネスホテルだったんですが、目黒駅からもバスで行くような立地で、時代にも合わず廃業になってしまいました。
建物を借りる人はいないかという相談があり、私どもがホテルにリノベして5年くらい運営もしました。当時の稼働率は9割くらいでした。企画設計の仕事では、沖縄で地元の不動産会社が買ってきたボロボロのビジネスホテルをリノベーションしたり、帯広ではオフィスビルをホテルに変えたりするようなプロジェクトもありました。
リノベーションホテルの象徴とも言える「CLASKA」
運営が生み出す設計
――観光客の多い京都では教育施設を再生した「ホテルカンラ京都」、寮をよみがえらせた「アンテルーム京都」などデザインに凝ったホテルも再生、運営を手掛けています。UDSではデザインもそうですが、事業性をかなり厳しくみるようです。

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