【識者に聞く】日本ホームインスペクターズ協会・理事長、「診断ついでにリフォームは望ましくない」
・インスペクション義務化、今後の普及について尋ねた
・不動産会社が業者を斡旋し、マージン要求や報告書改ざんする例も
・消費者が自らインスペクター選定するなど、対応が求められる
日本ホームインスペクターズ協会 長嶋修 理事長
4月1日から中古住宅売買の場で建物診断の告知が義務化され、インスペクターの活躍の場が広がっている。インスペクションは普及するのか。1571人のインスペクターを抱える日本ホームインスペクターズ協会(東京都新宿区)の長嶋修理事長に聞いた。
現状は「粗製乱発」
――国はインスペクションを普及させ、消費者が中古住宅を安心して買える市場を作ろうとしています。
日本は今後、中古住宅がメーンになっていくと考えます。国の統計では、日本の中古住宅の流通は、18%程度。対してアメリカは80%です。もしアメリカ規模になるなら4倍。今日本のどの市場を見渡しても4倍に膨れ上がる分野なんてないですよ。
――インスペクションを担う「既存住宅状況調査技術者」が、3月末時点で2万7000人規模に達しました。
率直にいって「粗製乱発」といった印象です。確かに建築士は建物のスペシャリストですが、それは図面上で計算したり設計したりすることが専門で、建物診断において重要な「劣化」に対して判断する専門家ではないのです。
ですから、これから真面目にインスペクションに取り組もうという建築士が当協会公認「ホームインスペクター資格」を受験するというケースも増えてきているんです。国の講習を半日受けただけでは分からないことだらけですから。
正直言って、当協会の試験の方が難しいんです。受けた建築士でも合格率は6割程度。4割は落ちていることになります。試験では、協会が重視する「劣化」についての設問と不動産取引に関する設問がありますが、後者が特にネックになっています。
というのも、一概にインスペクションと言っても、購入前なのか、商談中なのか、購入後なのかで知っておかなければならない法律や消費者にアドバイスすべき事柄が変わってくるからです。その場面場面での対応力が求められるのです。
診断は中立であるべき
――インスペクターの中には、診断の後、その修繕やリフォームを受注したい人もいると思います。
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