フクモト工業 福本満寿男 社長
福岡県宗像市を地盤に塗装リフォームを手掛けるフクモト工業は利益改善に注力している。2019年6月期の経常利益が約1000万円。これは前期比で270%アップだった。2020年6月期の経常利益は売上高の5%の約1300万円となった。マネジメントゲームと呼ばれるボードゲームを通じて利益の生み方を見直した方法を福本満寿男社長に聞いた。
【リポート/編集部 高田遥介】
安易な値引き減り、経常利益率は5%に
――経常利益が伸びているようです。
はい、マネジメントゲームを2018年に始めたことがきっかけです。そもそもマネジメントゲームは、遊び感覚で経営を学べる経営者育成研修のことです。このゲームは宿泊を伴った一泊二日で5期とし、実際に自分が経営者となって会社運営を行います。
内容は、カードやボードチップを使って商品をいかに販売するかです。お金を借りる、人材育成をする、競合他社への対策、どこで商品を売ってどれだけ売れば利益が出るかを自分で考えます。1卓4~6人で競い合い、明確な勝利というのはありません。
これを25期やると経理、50期で経営、75期で市場がわかる、100期で人が変わると言われています。私どもは170期やりました。
――結構リアルな内容ですね。
損益分岐点を意識することや、どこで利益が減るのかが見えてきました。
私たちは損益分岐点を明らかにするために予測不能コストを固定費に入れるようにしました。例えば塗装リフォームで1戸150万円を受注した場合、売上高から原価を引いたら粗利になります。その原価には外注費、材料費を入れる。
しかし、現場管理を1時間する場合に行く往復の車のガソリン代、養生テープを何メートル使うかは不明です。材料にしても、屋根と外壁の塗料は使用量がメーカーで決まっており、塗料の壁への吸い込みが激しい場合、追加料金をいただくのは難しいです。
ですので、予測が難しいものは固定費に入れて、変動費を減らしました。そうすると仮に固定コストは月1000万円と決まれば、1工事で粗利益100万円残れば月10件で固定費を超え、そこから利益になる。固定費を賄える数字がすぐわかります。
マネジメントゲームに取り組む社員。福本社長も真剣に参加する
――以前は利益をあまり考えていなかった印象があります。

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