テラDXソリューションズ 徳重 徹 社長
シンプル機能で初年度導入1万社を目指す
電動バイクやドローン事業を展開してきたテラグループは「テラDXソリューションズ」(東京都新宿区)を新たに設立。新会社のサービス第一弾として、5月31日に建築事業者向けの施工管理ソフト「テラ施工管理」をリリースした。講習なしで現場職人も簡単に使えるシンプルな機能が特徴で、コストは完全無料。1年間で1万社の導入を目指すという徳重徹社長に、完全無料の仕組みや今後の展望について聞いた。
【聞き手/報道部長 福田善紀】
89%が「導入したい」の声
――「テラ施工管理」の特徴を教えてください。
トークアプリ「LINE」のように、直感的に操作できるアプリです。主な機能は「トーク」「掲示板」「写真管理」「位置情報共有」の4つ。現場ごとにトークグループを作成し、進捗・図面・写真等の情報を共有できます。最大の特徴は、必要な機能のみに絞ったシンプルさ。講習やトレーニング不要で、ダウンロードしたその日から使えるので、現場の職人に不要な手間をかけません。また、完全無料でデータ容量制限もないので、安心して長期的に使ってもらえるのもメリットです。
――リリース後、1週間で導入数が1000社を突破したと聞きました。ユーザーの評判はいかがでしょう。
使ってもらった方からの評判もすごくいいですし、300社ほどが参加したウェビナーのアンケートでも、89%が「導入したい」と回答しています。この300社の規模感は、社員数10人未満の会社が約75%。とにかくシンプルなので、3~10人規模の会社が一番使いやすいと思います。
トークグループのイメージ
「ちゃんと使える」アプリを
――なぜ施工管理ソフトに着手されたのですか?
昨年夏から開始した保険会社との連携において、スムーズな施工管理が必要だったからです。当グループの前身であるテラドローンは、自然災害発生時の迅速な保険金支払いのために大手保険会社と協業して、被災家屋の早期現調復旧をサポートしてきました。工事そのものは、全国で提携しているドローンチームや屋根会社ネットワークに請け負ってもらうのですが、各現場の施工管理をトークアプリで補おうとすると、どうしても煩雑になってしまう。とはいえ、既存の施工管理ソフトは使い方が難しくて定着しないのです。そこで、まずは自分たちのために、スムーズに施工管理できるソフトを開発しようと思いました。
――それをなぜ、外部に提供することに?
先の保険会社との連携事業の取り扱い件数が大幅に増加していて、あらゆる施工業者さんの手が足りなくなるのが予想されるからです。このアプリが普及すれば、リフォーム、屋根、外壁、足場、塗装、エクステリアなどの専門業者さんとのつながりができ、優良業者さんのネットワークを全国に構築できる。とはいえ、アプリの維持費が経営を圧迫するようでは意味がないですから、無料での提供に踏み切りました。保険会社との連携事業件数をもっとこなせるようになれば、無料でもマネタイズはできますからね。
――まずはどれくらいの導入を目指されますか?
1年間で1万社の導入を、そして導入するだけではなく、7~8割の人に「ちゃんと使ってもらう」ことを目指します。今はいろんな施工管理ソフトがありますが、登録するだけで使っていないノーアクティブのものが少なくない。当社は、機能の追加や開発も自社で行えるのが強みの一つですから、テスト使用で要望のあったPDF変換や天気予報機能の追加にも即座に対応していきます。いい製品と適切な価格であれば業界を変えられるというインパクトを、このアプリで与えたいですね。
――建設業界にイノベーションが起こるかもしれませんね。
建設業界って、課題を解決できそうでできていないでしょ。そういう意味ではこのアプリも、お客様が「本当に喜んで使っていく」というレベルに到達してこそ、意識が変わると思うのです。先の保険会社との連携事業にしても、保険会社と屋根事業者という保守的な2業種をまとめるなんて無理だと言われながら、何とかやってきたという自負が僕たちにはある。だから今回も、無理と言われる施工管理ソフトの本当の普及に挑戦していきます。そうして、「建設業界でも変われるんだ」というところを見せていきたいですね。

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