オリズム 錦織 修 代表
工務店向けコンサルティングをするオリズム(大阪府大阪市)の錦織修代表は、工務店が行う情報伝達手法について「お客さんへ情報の伝え方が間違っている場合が多い」と指摘する。20年にわたって約300社の工務店サポートをしてきた情報伝達のプロである錦織氏に、価格競争に陥らないためにするべきことは何か、エンドユーザ―に向けた取り組みを聞いた。
「売れそうだからやる」の視点はダメ
――現在工務店にはどんな課題があると感じていますか?
お客さんが本当に知りたいことを説明できている営業マンが少ないところに課題があります。例えばモデルルームに来たお客さんに対し、建物やキッチンなどの説明を一通りする営業マンは多いと思いますが、なぜお客様がモデルルームへ来たのか、本当の目的を知ることが大切です。私は「お客さんと話している時に、矢印がどちらに向いているか考えてください」とよく言っているのですが、お客さんがどのような情報を必要としているのか、きちんとヒアリングしなければいけません。契約までのプロセスをしっかり決めていない会社が多いと感じています。
――課題をクリアするために、これからは何が必要でしょうか?
「これは売れそうだからやる」という視点ではダメで、お客さんが好きか嫌いか、しっかり判断するために、会社としての「軸」を作らなければいけないと考えています。
会社がどういうポリシーを持って家づくりをしているのか、そういう家を建てるために空調はどうするのか、断熱はどうするのかを伝え、優先順位の線引きを明確にすることが大切です。
――軸が明確でない工務店が多いということですね。
最近、G2レベルといわれているからG2レベルにしようとか、コストが上がるからZEHにしようという会社が多い。ただ、軸足が自分にないと契約が決まらないし、疲弊して売上も上がりません。お客さんも、建てた家は寒いとか光熱費がとてもかかるなど全員不幸な状況になるわけです。
――具体的にはどのように説明するとよいのでしょう。
住宅性能はオプションにしたらダメと思っていて、例えばうちの会社はこだわりから、24時間換気は第1種換気を使っているという話をしないといけませんが、3種もあるし、1種もあると、どちらがいいですか? 1種だとプラス40万円になりますと話してしまうと、家そのものに哲学がなくなり、ただのモノの寄せ集めになります。だから、こういう家づくりをすることで、お客さんに幸せになってもらいたい...と伝えることができれば「きちんと考えてくれる会社だから大丈夫だな」と安心感を持ってもらえます。

最新記事
この記事を読んでいる方は、こんな記事を読んでいます。
- 1655号(2025/07/07発行)17面
- 1653号(2025/06/16発行)12面
- 1651号(2025/06/02発行)12面
- 1649号(2025/05/19発行)7面
- 1647号(2025/05/05発行)15面