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HUB&STOCK、余剰資材を有料買取 低コストで販売

HUB&STOCK
豊田訓平 代表
1488号(2022/01/10発行)13面
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HUB&STOCK 豊田訓平 代表

HUB&STOCK 豊田訓平 代表

建築現場で発生する余剰資材を回収し、アウトレット価格で販売するHUB&STOCK(東京都板橋区)。リユースによる廃棄・資材コスト削減で、資材が循環する文化づくりを目指している。デザイン事務所から転職し、社会課題解決型ビジネスを展開するボーダレス・ジャパン(東京都新宿区)の子会社として同事業を起こした豊田訓平代表に、サービスへの想いや今後の展望について聞いた。

【聞き手/報道部長 福田善紀】

関東だけで100万トンのゴミが

――余剰資材を再販売するビジネスとは面白いですね。

建材は混合廃棄物というカテゴリになりますが、これが関東4都県だけで年間100万トン廃棄されていて、そのうち20万トンくらいが新品の資材です。また、首都圏の最終処分場の残余年数も5~6年にまで迫ってきている。この建築資材ロス問題を解決するのが僕のミッションだと考え、ボーダレス・ジャパンに転職。社会起業家としてHUB&STOCKを立ち上げました。

――もともとは大手ゼネコンで意匠設計者として活躍されていたとか。

新卒で東証一部上場のゼネコン設計部に入所し、意匠設計・構造設計合わせて200を超えるプロジェクトに携わりました。その中で、建設が環境に大きな負荷をかけていることを知り、業界のビジネス構造に違和感を抱えるようになったのです。ハードワークで身体を壊したこともあり、一度自分と向き合ってみようと退職を決意。その後、店舗デザインを得意とするデザイン事務所に転職しました。

――デザイン事務所ではどういった業務を?

主に商業施設の設計を手掛けていました。それまでの経験を生かせ、お客様に喜んでもらえることには大きなやりがいを感じていましたが、やはりここでも前職に似た違和感があって。現場に足を運ぶたびに、余った新品の建築資材が廃棄されているのです。そこで改めて調べてみると、関東だけでもすごい量の資材が捨てられていることがわかった。効率を優先して捨てるという理屈は理解できますが、経済先行のその世界観が僕にはどうしても承服できませんでした。

HUB&STOCK 余剰資材を集め再流通するために保管余剰資材を集め再流通するために保管

不動産管理会社との連携を目指す

――事業の内容を教えてください。

工事会社の倉庫に定期的に伺い、新品の余剰資材を買い取り。品番や数量をこちらで管理し、卸価格の2~3割引きで販売しています。取り扱うのは、壁紙やフロアタイル、フローリング、磁器・陶器のタイル、化粧板などの内装建材。回収エリアは現在のところ一都三県で、輸送は関東全域です。すでに600種類、1万2000点の在庫を管理。今後は塗料など、扱う品目をさらに増やしていきたいと考えていますが、まずは大きな課題である混合廃棄物に絞って解決していきます。

――販売チャネルはどういったところですか?

不動産管理会社、地域の工務店、DIY市場、工房、美大・芸大の大きく5つです。不動産管理会社は原状回復工事で使っていただけますし、DIYはセミプロを育成しているような団体さんからニーズがあります。工房は、プロトタイプ作成などで役立っています。

――注文はどのような形で受けているのでしょう。

現在は公式のラインアカウントから受け付けています。カテゴリ分けした品番表のデータをお送りし、相談など細かなやりとりはチャットです。もっと便利に利用してもらえるように、ECサイトも準備中です。

――建築資材ロスの問題解決となると、マーケットもかなり広い。今後の構想は?

短中期的には、日本の約半分の混合廃棄物が集まる関東の資材ロス問題の解決です。まずは大きな倉庫を用意し、関東の余剰資材をすべて集めて発送していきます。そうして、地域で出たものを地域で循環するコミュニティを形成していきます。

――不動産管理会社などとも連携できそうですよね。

おっしゃる通りで、学生向けマンションや社宅を管理している企業との連携を目指しています。当社と組めば、資材コストを下げながら、サスティナブルな取り組みをしている学校・企業だというアピールもできる。うちが管理している資材は部分修繕向きなので、原状回復等のリフォームでは特にお役に立てるはずです。そうして徐々にスケールしていき、建設業界に資材循環の文化を創っていきたいですね。

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