スマート修繕 豊田賢治郎 社長
マンションをはじめ大型建物の大規模修繕など工事の一括見積もりと選定支援サービスを事業にする、スマート修繕(東京都渋谷区)。今年1月に設立した、IT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)のグループ企業だ。専門知識がなくても簡単に比較検討できる見積もりの提供や、工事会社の適正価格の浸透を目指している。創業のきっかけは、豊田賢治郎社長自らが住むマンション管理組合での実体験。起業した事業の概要、今後の展開などを聞いた。
「憤り」と「社内アンケート」が生んだ事業
――起業には、ご自身の苦い体験がもとになったとか。
私が自宅マンション管理組合の理事長をしている時に、管理会社から情報の非対称性を逆手に取ったような、要するに金額的に不明瞭な提案をされました。代替案を探してもなかなか難しくて、憤りを持っていたんですね。これはどういうことですか? と指摘をしたら取り下げられたとか、以前の見積もりでも、工事範囲を精査して絞ったら500万円が20万円になったとかいうこともありました。
――そこから事業をスタートするに至るわけですよね?
会社員だった当時、社内SNSで「不動産管理で課題を持っている人は教えてください」というアンケートがあって、こんなひどい話があるので解決するサービスを作ったらどうかと提案したんです。すると、「あなたがリサーチしたらどうですか?」と返されて(笑)。起業には興味がなかったのですが、憤っていたことだったので、週末起業みたいな感じでオフの時間を使って調べ始めました。外部コンサルタントの方に協力いただきながら、管理会社や工事会社、理事長経験者など30人くらいに聞き取りをして検証結果をまとめて、2年ほどかけて仮説が間違っていないかを検証しました。
――自らの体験をどのくらい需要があるか確認したわけですね。そこからすぐに事業体制が構築できたのでしょうか。
簡単なサイトを作りインターネット広告を打って、こんなサービスをするので事前登録してくださいと募ったら、お客様と工事会社に十数社登録してもらえて、相見積もりを取って契約までいくか伴走しました。そうするうちに、あるまじき姿だから、これは事業として絶対にやりたいと思いました。
「適正な価格と保証内容で契約できる」というゴールが明確なので、それを実現すために要素分解して、設計コンサルやマンション管理士の方に顧問になっていただきながら組み立てました。
適正かつシンプルな比較一覧表をユーザーに
――サービスの概要を教えてください。

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