近畿大学 建築学部長 岩前篤教授
961年和歌山県生まれ。80年神戸大学建築系環境計画学科入学、84年神戸大学大学院工学研究科入学、86年積水ハウス(株)入社、試験研究所配属。89年同社総合住宅研究所に配属、住宅の温熱環境・省エネルギー・高耐久技術の研究開発に従事。95年神戸大学にて博士(工学)授与。2003年近畿大学理工学部建築学科助教授、09年に教授となり、同学科長。11年、建築学部誕生と同時に初代学部長就任。
◆スペシャルインタビュー◆
近畿大学の岩前篤建築学部長は、住宅の温熱環境と人の健康の関係について研究している第一人者だ。冬季の死亡率の高さは、住宅内の寒さに原因があるとし、「高断熱住宅で冬場の室内温度を上げることが、住まい手の健康を守る」ことをデータで説明している。子育てを終えた高齢者世帯には、コスト面で負担の少ない部分改修のメリットを強調。今後はリフォームビジネスでの活用を視野に、部分改修のソフト開発にも力を入れていくという。
聞き手:本紙社長 加覧光次郎
高断熱住宅のメリットをデータで説明
――住宅や建築物の省エネ対策として、2020年までの省エネ基準義務化の方針が示され、住宅の高断熱化が注目されています。
省エネ基準は、1990年代から段階的に改正されていますが、断熱向上の目的は「省エネ」でした。今回の義務化で、躯体の断熱性能と、設備機器の性能の両方を総合的に評価する、という方法に見直される予定です。しかし、この基準を満たしたから「良い住宅」だとは必ずしも言えないかもしれない。省エネ基準を、省エネの達成手段と捉えるのでなく、私たちにとって本当に「良い住宅」とは何かを考えないといけないと思います。
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