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御堂筋税理士法人、業務管理で粗利率10%向上

御堂筋税理士法人、業務管理で粗利率10%向上

御堂筋税理士法人
経営コンサルタント 才木陽介氏 税理士 小笠原知世氏 経営コンサルタント 恩田恭平氏
1551号(2023/05/01発行)11面
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「業務管理をすれば、粗利率は10%以上アップするところが多い」このように語るのは御堂筋税理士法人(大阪府大阪市)の小笠原知世氏だ。財務の改善をすることで、劇的に利益を出すことが可能になる。このたび工務店・リフォーム会社専門チームを立ち上げた同社の税理士・小笠原氏と、経営コンサルタント・才木陽介氏、恩田恭平氏の3人にその仕組みを聞いた。

月次決算で劇的に財務改善

始まりは企業を知る

──財務を改善するだけで利益を出せる住宅会社が多いそうですね。具体的にはどんなことをしていくのでしょうか。

才木氏 これまで会計事務所自体が、お客様の「企業を知る」ことをあまりしてきませんでした。私どもは業種を問わず、会社の業務フローなど全ヒアリングから始めます。お客様以上にお客様を知ることから始めて業績の回復をします。

御堂筋税理士法人 経営コンサルタント 才木陽介氏経営コンサルタント
才木陽介氏

──劇的に改善した実際の事例はありますか。

小笠原氏 利益が1億円改善した事例があります。そのリフォーム会社は、有名フランチャイズに加盟し、新築や不動産も始めて、コンサルティング会社のマーケティング支援も受け、店舗出店を加速していたんですね。それらのコストがかさんで、お付き合いした当初は9000万円ほどの大赤字でした。こちらの会社では1年で明らかに成果が出ましたね。通常は会計の業務フローや仕組み化に1年、最低でも半年はかかります。仕組みを作ると、2年目から成果が出ることが多いですね。

御堂筋税理士法人 税理士 小笠原知世氏税理士
小笠原知世氏

恩田氏 同社は大赤字で借入が増えていましたが、月次決算をしていないとなかなか気づけないのです。某建築支援会社の密告から弊社とつながり支援することになりました。まず取り組むのが業務フローの整備。工務店だと、いまだに100万円以上の案件でも着工金や中間金をもらっていないパターンも多くあるので、しっかりもらうようにする。あとは、あまり会計事務所が触らない部分、たとえば請求や契約、事前発注のルール化や工事台帳の整理、月次決算の仕組み化などを行います。

御堂筋税理士法人 経営コンサルタント 恩田恭平氏経営コンサルタント
恩田恭平氏

利益を上げるための3つの施策

小笠原氏 月次決算はあまり興味を持たれないのですが、業務管理をすると粗利率が間違いなく上がります。利益アップには「売り上げを上げる」「粗利率を上げる」「固定費を下げる」の3つしかなく、業務管理をすれば、粗利率は10%以上アップするところが多いです。依存しているコンサルや広告をやめる、リフォーム会社が新築もやってうまくいっていないなら、それも一旦やめましょうと言うこともありますね。

──月次決算への移行となると現場の協力も不可欠です。どのように進めるのですか。

才木氏 社長と経理担当者だけで行うのが難しい場合、彼らが前に出て皆さんに説明してもらって、必要に応じてフォローします。「次行く時までにやっておいてください」ではあまり進まないので、入り込んで一緒にやることが大事です。

恩田氏 従業員がやるのは、今までできていなかった原価台帳の入力や契約書や見積書、発注書の整理や管理などといった業務ルールを守ってもらうこと。それが顧客満足やリピートにもつながりますよ、という話をします。3カ月連続で事後発注をしたら評価が下がるなどの仕組みを取り入れて実行しています。事後発注をすることや実効予算管理台帳がないということは、結局スケジュールもなしに旅行に行くのと一緒です。友達を旅行に連れて行ったとして、楽しもうと思うなら、事前に計画や予約もするでしょうと。受注して終わりじゃないという話はきちんとします。

小さな企業でも効果あり

──年間売り上げ1億〜3億円くらいの会社でも効果はありますか。

才木氏 私どもが支援するのは、事業規模の小さなところが多いです。新築だと年間5〜10棟くらいの会社ですね。小規模の会社の粗利率の低下というのは、事故を未然に防げていない、もらえるものをもらえていないというのが多いですね。

──ところで、なぜ工務店チームを立ち上げたのですか。

小笠原氏 15年くらい前、各地域の工務店に後継者育成のための大学を始めたのが、最初のご縁です。私どもにとっての最終顧客は地域の工務店で、流通をうまく回すためには、その皆さんに元気になってもらう必要がありました。いくつかの経営支援に携わるうちに、紹介などもあって増えていき、現状は顧客全体のうち半分が住宅系、工務店やリフォーム会社、設備会社が3分の1を占めています。

メーカーは原価計算が必要なので、会計処理も複雑です。一般的な会計事務所は、あまりやりたがらないんですね。そこをきちんとやっていこうと支援を始めたのがきっかけですね。

──家を建ててくれた工務店がなくなるようでは困りますものね。

小笠原氏 そうです。家族と家を持った者としては、もっとも供給責任が重要視される産業だという思いを強くしました。そのためにも「会社があり続けるということ」にコミットしなければいけない。生活の基盤となる住産業を支える意味で、しっかり存在してもらえることへの危機感もあります。

会社概要
会社名 :御堂筋税理士法人
代表社員 :税理士 才木正之(CEO)税理士 松木綾(CTO)
本社所在地 :大阪府大阪市
設立 :1991年6月
従業員数 :47人
事業内容 :税務サポート、経営サポート、経営コンサル、人材育成サポートなど

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