フランチャイズ(FC)が約540店、ボランタリーチェーン(VC)が約1万1200店と日本最大規模のリフォーム会社ネットワークを展開するLIXIL(東京都品川区)。コロナウイルスの影響でユーザーニーズや働き方が変化している中、いかなる施策でリフォーム会社の支援を行い、市場攻略を進めるのか-その戦略をリフォーム事業部事業部長の星野亨氏に聞いた。
「窓マイスター」の倍増目指す
リアルとオンラインのハイブリッドで
リフォーム事業部事業部長
星野亨氏
── リフォーム会社支援策の1つが営業マンの売る力を強くするツール、「L-ポケット」かと思います。
現在FCが約540店、VCが約1万1200店で、近々は微増で推移しています。L-ポケットは、どちらもフル活用していただけるサービス。営業マンがすべての加盟店様に訪問して情報を届けることは難しいので、デジタルを使ってしっかりサポートするために立ち上げ、改善や新しいサービスなども追加しています。
── 具体的にL-ポケットのどんなサービスの利用が多いのでしょう。
一番は補助金のシミュレーションです。どういった商品に、どのくらいの補助金が出るのかを簡単に検索できます。たとえば内窓にこのサイズを使用と入力すると、補助金がいくらかすぐに出てきます。窓以外も、いろいろな補助金に対応しています。
ショールームの予約機能も好評です。ユーザーと面談中に、商品や補助金について詳しく知りたいという時には、オンラインでショールームとつながってコーディネーターが代わりに説明します。そこで現物を見たいとなれば、直接来店予約も可能です。
── コロナの影響もあり、オンラインのサポートが進んだわけですね。新しく追加したものはありますか。
今回、新しく加盟店さんが使いやすいように整理をして「お客様に提案する」というツールを作りました。まず、お客様のご要望を伺い、次に困りごとを3D空間で提案というように、接客のステップごとに必要なツールが出てきます。プラン集を見ながら説明できるので、あまり商品知識がないリフォーム店の営業マンでもスムーズな接客が可能です。
── ショールームでいうと完全にリアルに戻るとはならないですかね。
やはり、リアルで現物を見たいという要望は揺るぎないので、初回は足を運んでいただいています。ただ、従来はショールームに2、3回はお越しいただいていたのが、1回目はしっかり現物を見て体験して対面でのコミュニケーションを取り、見積もりを出して以降の調整などはオンラインでというケースが多いですね。
ユーザーと同行する加盟店の方が何回もショールームに足を運ぶのは負担ですし、今後はオンラインとのハイブリットが主流になると思います。
── ショールームイベントもオンラインとのハイブリッド型になる可能性はありますか。
そうですね。既に、ハイブリッドでイベントを行っている加盟店もあります。もう1つの観点として、リアルイベントが増えている中、1人あたりの集客コストをいかに下げるか。集客面にデジタルの要素をいかに組み込めるかが、ポイントになると思います。
L-ポケットでは、イベントの運営についても事前に必要なメニューをパッケージ化し、チラシやひな形を用意して、イベント日から逆算していつまでに何を用意しなければいけないかを明記、それに沿って実施することで工数もコストもかからないというものを作っていきます。集客コストをかけられない加盟店様の効率化の支援です。
「窓」と「断熱」を商機に
── リフォームの内容でいうとどのようなリフォームを加盟店に促していますか。
最近の補助金をきっかけに、窓断熱だけではなく「まるごと断熱リフォーム」に本気で取り組んでいただけるFC加盟店が増えています。性能改善フルリフォームというより価値のある提案ができるお店を増やしたいですね。
── 「先進的窓リノベ事業」補助金の終わりが見える中、窓だけではない提案を推進するわけですね。
今回の補助金で窓への関心が高まったので「窓マイスター制度」を整備してマイスターを増やし、リフォーム会社がユーザーに窓をわかりやすく、効率的に提案できる仕組みを作っていきます。補助金という盛り上がりの後も、業界への需要を維持するためには必要なことだと考えています。住設系の加盟店様が窓から水回りのリフォームへの提案につなげているといったケースも増えています。
── 窓マイスターの資格をもつ方の数はどのくらいでしょうか。
現状は1店舗に1人以上いるところが全体の2、3割程度、3000〜5000人ほどですが、少なくとも倍以上にしていきたいです。マイスター制度は10年目を迎えますが、引き続きフォローアップやサポート制度を充実していきます。
L-ポケットには個人のアカウントが入っているので、窓マイスターを取った方に対しては特別な情報を出したり新しい補助金の活用をすすめたり、そういった提案がダイレクトにできます。L-ポケットで見てもらえるオンラインセミナーで情報発信するなど、積極的にフォローやサポートをしていければと考えています。
LIXILの「まるごと断熱リフォーム」は、壁、天井、床、開口部などの組み合わせで、一棟まるごと断熱リフォームを可能にする

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