ガーデンライフスタイルメーカーのタカショー(和歌山県海南市)がマーケットのDX(デジタルトランスフォーメーション)化に向けたサービス提供を加速している。AR技術を搭載したシミュレーションアプリや、グループ会社で3Dパースや動画・VRなどのソフトサービスを提供。住宅会社に向けてデジタルを活用したガーデン提案の支援を進めている。現在を、「大転換期」と語る高岡伸夫社長に市場の変革に合わせた取り組みを聞いた。
ツールでソフト提案を支援
プロがDXをフル活用する必要性
高岡伸夫社長
── 近年、プロもユーザー側も大きな変化があるなか、高岡社長が語る「大転換期」は、どういったことを指すのでしょうか。
3年にわたるコロナ禍を経て分かったことは、家と庭の心地よい豊かな暮らしに必要なものはお金をかけるものではなく、自分の家に取り込むという考え方。一言でいえば、ハードではなくソフトへの転換です。
残念ながら現状は、良いものを長く使うという発想が欠けていて、そこを転換しないといけない。「良いものを得る代わりに要らないものは省く」という発想です。良いものを作って、飽きない空間にして長く使う。超高齢社会に向けて、地域と暮らし方や健康、人が交わる魅力あふれる街並みにするには、リアルとウェブのハイブリッド空間を作ることだと思います。つまり、施工主であるプロ側が、DXとネットをしっかり取り込んで活用していく必要があるということです。
── ただDXといっても、言葉だけではイメージがわきません。7月に行う展示会「タカショーガーデン&エクステリアフェア2023」で具現化された姿を公開するわけですね。
展示会では例えば、VRやARを活用し、暮らしのストーリーを見せる空間を提供します。また、ガーデンパッケージ商品を、図面としてそのまま反映できるサービスも見てもらいます。DXとGX(グリーントランスフォーメーション)の話題は、海外では当たり前になっています。それはこれから流通にかかるエネルギー問題解決やカーボンニュートラルを進めるにあたり、効率を考えて事業を行う必要があるからです。
── 建築業全体で、転換を進めなくてはいけない時期にきています。
効率という観点でいうと、庭やエクステリアでもアパレルや食料の廃棄問題と同様にリユースが重要になります。われわれが運営する「ガーデンストーリー」というガーデンとエクステリア専門のウェブマガジンもうまく活用して、マーケットを啓蒙していきたい。新しい住まいのコンセプト、個人や資産、地域の価値を提案していきたいですね。
── リユースの面でいえば、日本でも海外と同じように中古建材の再流通市場を作っていくことも重要でしょうね。ほぼ新品でも廃棄されている量があまりにも多い。そうした観点の事業の可能性はありますか。
構想はあります。すぐには難しいですが、たとえば、ホテルなどに行くと、アウトドアテラスを快適に過ごすためのツールをレンタルしているところがあり、そうした展開も考えています。
── リユースまでいかずとも、先ほど話がでた商材を長持ちさせるという発想は、廃棄物減少につながります。
メンテナンスを楽しむファニチャーという視点も重要ですね。海外では、塗料を塗ることで、20年くらい長持ちするといわれています。ファニチャーカバーなども、海外では普通のこと。庭で長い時間を過ごすうえでは、どう使うかも冷静に考える必要があります。メンテナンスすることで確実に長持ちしますので。
── 7月の展示会では庭の暮らし方に関連した展示もあるのですか。
暮らしを豊かに楽しくできる家庭菜園用品や目隠し的なツール、照明やスパ、バーベキューの電気グリルといったツールを用意しています。ハウスメーカーや地域に密着したエクステリア施工店、リフォーム会社の方々には、取り入れていただきたいですね。
── プロが行うソフト面の提案をサポートするわけですね。
アートと時間軸、健康をどういうふうに意識するかが大事になってきますね。
DXとデザインを掛け合わせた展示会を7月27日、28日に東京流通センターで開催
持続可能で簡易なエクステリアを
── 最後にこれからのマーケット拡大に向けた事業施策を教えてください。
住宅会社に向けては簡易にパッケージした商品を提供していきたいと思っています。そして、職人が高齢化して減っているなかで、もっと簡単に施工できるものを作らないといけない。加えて、新しい風をどんどん吹き込み、積極的にいろいろなところとコラボレートしていきたいです。
今のままでは、日本のエクステリアの未来は描きにくい。お金をかけるなら、住宅のバックガーデンにも力を入れて、そこに住んでいる人の日々の暮らしを豊かにする方が良いと思います。家と庭の暮らしを豊かにすることで、隣近所とコミュニケーションをとれます。美しい花と緑があるだけで幸せなのに、どうして人はモノに囚われるのかと(笑)。新築が減っていくなかで、考え方を変えていかないといけません。私どももマーケットで望まれるような暮らしや新しさなどをつなげながら新たな価値観を作っていきたいです。
会社名 | :タカショー |
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代表者名 | :高岡伸夫 |
本社所在地 | :和歌山県海南市 |
設立 | :1980年8月 |
従業員数 | :449人(2022年1月現在) |
資本金 | :30億4362万円 |
売上高 | :203億5100万円(2022年度) |

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