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「ChatGPT」で自動応答

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「ChatGPT」で自動応答

シップ
小松信幸社長
1566号(2023/08/28発行)13面
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昨今注目されているAIチャットサービス「ChatGPT」。リフォーム業界での利用の可能性がささやかれているが、ChatGPTがどういったサービスで、リフォームにどう活用されていくのか。ウェブマーケティングなどを行っているシップ(東京都文京区)の小松信幸社長に話を聞いた。

社員教育や採用にも効果

学習予測から次の言葉を生む

シップ 小松信幸社長小松信幸社長

── ChatGPTとはそもそもどんなサービスなのですか。

「GPT」はGenerative Pre-trained Transformerの略で、「事前に学習した情報に基づいて言葉を生成する」こと。つまり、与えられた情報を元に、次にくる言葉を確率的に予測する仕組みです。たとえば「私はリンゴを食べた、かじった」の次候補になる言葉はいくつかありますよね。学習した大量のデータから、次の言葉を予測するというわけです。

皆さん、AIといえば神の領域みたいに正しい判定をして指示を下す、みたいに思いがちですが、人類が到達したAIは今のところ「与えられた次の言葉を予測して生成する」という仕組みです。

── 既にAIの活用は企業でも進んでいますか。

あるデータで、52%の企業が生成AIの活用を検討していると答えています。大企業は人を配置して会社としてのユースケースを作ろうとしていますが、そのほかでは「聞いたことはある、でも使ったことはない」というのが現状です。

── リフォーム業界ではどのような活用がありえますか。

あるリフォーム会社のホームページにデモ版のChatGPTサービスを入れているのですが、たとえば「キッチンリフォームはいくらくらいになりますか?」と入れると「一般的には40万〜100万円くらいになります」のように答えます。その情報源は、同社のホームページ内となっており、引用先も瞬時に示されます。

── つまり、人力で行ってきた顧客の質問にAIが答えてくれるということですね。質問に答えるだけでなく、何かを決める際の判断を仰ぐことも可能ですか。

AIは、正しいことを言う神様ではなく次の言葉を予測しているだけ、というのがポイントです。ですので、読み込ませた情報から最適な何かをAIが判断してくれるという活用方法は、今はまだやめた方が良いと思っています。

ホームページ内のチャットボットは昔からありますが、それは単にFAQをたくさん覚えさせているだけ。正しいことを判定してくれるように見えて、根拠は入れ込んだFAQから持ってきているケースが多い。それでは、AIの仮面をかぶったチャットボットですよね。判定するためには、それに足るありったけの情報量を入れ込まないといけません。

シップ リフォーム会社のChatGPT活用例リフォーム会社のChatGPT活用例

良質なコンテンツ提供のために

── 万能ではないことを理解して利用することがポイントになりそうですね。

僕らが取り組むのは、良質なコンテンツをホームページやSNS、YouTubeの動画に増やして、ウェブ上の頭脳をきちんと作っていきましょうということ。ウェブ上にあるコンテンツのボリュームと質が良ければ、ユーザーはネットやリアルで他と検討しても、その会社に決めようと戻ってくるわけです。そのためには、生成AIの仕組みを理解してFAQを充実させるのが一番手っ取り早い。微妙に違うFAQのコンテンツをたくさん作って入れておく必要がありますが、コツさえつかめば簡単に2000、3000と作れます。

リフォーム業界は幅が広いので、最近入った人が的確な応対をするのは難しいですよね。AIは辞めないし体調の悪い時もないので、言葉による応対が蓄積できれば毎日どんどん賢くなっていく。質問のログも全部取れるので、1週間に1回くらい見ては傾向を分析して、答えが適切でなければ逐一メンテナンスをすれば良いわけです。

── ほかの活用方法はありますか。

僕が一番推すのは、社員教育用の頭脳です。会社のさまざまなルールや文化、こういうときにはどんな応答をすれば良いか、「秘伝のたれ」ではないですが、ずっと入れ込んでいけば成熟したものができる。あとは採用ですね。実際の面接で給与や休みのことは聞きづらいですが、チャットでそういった質問に魅力的で明確な返答ができれば、あそこは大体のことはAIがきちんと答えてくれるというようになります。今後は労働力不足と、知恵があり、できる人の採用がますます難しくなることが予想されますし、経営の防御策にもなりえます。

── とりあえず現時点で取り組まないことには、今後のいろいろな変化に対応していくのも難しいですよね。やるなら、早ければ早い方が良いと思います。

お客様がリフォーム会社に電話して、応対が悪いからやめておこうというのと同じですよね。何も分からずに尻込みしていると、AIって単に怖かったりすごかったりと妙な幻想を持ってしまいますが、生成AIは「与えられた情報を元に次の言葉を確率的に予測していて、これくらいのクオリティになる」ということを理解できさえすれば、活用など次の一歩に進めます。用意するものは、自分の会社のナレッジを整理しておくことだけ。あとはシステムが変わっても、読み込ませさえすれば良いですので。

この記事の関連キーワード : AI ChatGPT ウェブマーケティング シップ チャット

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