TAKEUCHI 野々村保恵社長

所在地 * 東京都新宿区 / 創業 * 昭和39年 / 資本金 * 5000万円
従業員数 * 133名 / 拠点 * 11カ所
職場環境整備で社員の約6割が女性に
総勢80名弱のリフォームスタッフのうち、約6割が女性という、まさに女性が第一線で活躍するリフォーム会社がTAKEUCHI(東京都新宿区)だ。「スーパーパート」といった独自の出産後の職場復帰制度を設け、育児をしながらでも働ける環境整備を推進している。野々村保恵社長に話を聞いた。
出産後は週25時間の時短勤務
―――リフォーム社員の約6割が女性とは他社と比較して、割合が多く感じます。女性を多く雇用している理由はなんでしょう。
なぜか昔から女性が多くて、優秀な人を採りたいと思ったら女性になってしまうのです。社員はほとんどが新卒で、年7、8名ほど建築系の学校を出た人を主体に採用するのですが、多分男性でそうした学校を出た人の多くは橋や大きなビルを作りたいと思っていますよ。キッチンの取り替えなどに目を向ける人は少ないのかな。
―――ただ、女性が多く働く職場の場合、出産や育児がしやすい環境整備が必要不可欠と感じます。
そのためワークライフバランスやエンジョイワーキング制度といったバックアップをしています。弊社は子供が小学3年生まで週25時間の短時間勤務ができ、短時間勤務が終わったあとも子供が小学5年生ぐらいだと正社員に戻るのは結構ハードルが高いじゃないですか。そのためスーパーパート制度というのがあって、パートですが時間給が高いのです、でも早く帰れる。今何名かスーパーパートがいるのですがCADや見積もりもでき、リフォームのことが分かっているから社員と同じ仕事が行えるわけです。
―――それは面白いですね。一般的なパートの何倍くらいの給料設定なのですか。
2・5倍くらいだと思います。もちろん短時間勤務の後、社員に戻ることもできます。
―――リフォーム会社でなかなか、そこまでの制度を取り入れている会社は少ないです。
私も苦労してきましたから。子供を3人抱えながら働いてきたから分かるのです。仕事を楽しくやろうが社是なのですが、気持ち良く働けて、子供を産んでも一定の時になったら帰ってきて100%の力を出してもらいたいのです。だから、63歳の女性も働いていますし、一番年長では一級建築士で67歳の方もいますね。でも73歳のお客様にとってみると63歳の担当者は若手ですから(笑)。
BB制度で新卒教育
―――先ほど、新卒を中心に採用するという話でしたが、教育はどのように行っているのですか。
色々なジャンルごとに私やほかの社員が行うのと、BBといってビックブラザー、女性だとビックシスターですが、BBと呼んでいる制度があって、先輩に2年ぐらいついて指導をしてもらうのです。
―――2年間とは長いですね。
期間は人によってです。2年もつかなくてもちゃんとできる人はいますから。リフォームで一番大事なのはお客様が何をしたいのか聞くヒアリング力じゃないですか。うまく要望を聞けてない人では、工事後にお客様から「こんなこと言っていない」となりますよね。この制度でヒアリング力を高めて、社員の能力の均一化を図っているのです。
群馬県の桶屋が前身
―――ところで、御社はもともと、ガス事業が本業でしたよね。どんなきっかけでリフォームに参入されたのですか。
創業は1865年で、最初は群馬県の桶屋でした。私の祖父が桶屋の親方でして、弟子が何人もいたのですが、時代が変わり、ガス風呂が世にでたんですね。すると薪で火を起こす時代ではなくなり、その時に東京ガスさんから、ガス風呂の指定店にならないかと言われ、ガス屋になったのです。そしてガスを扱ったらお風呂の工事が徐々に増え、その後システムキッチンや、住宅設備工事もワンストップでできないかとの要望から、昭和50年ぐらいからリフォームのようなことをやっていました。
―――ただ、今はリフォーム会社とガス会社は別にしましたよね。
同じ会社で行うとお客様のイメージとして機器交換のようなガス屋さんのリフォームイメージが強くなるので、そこから離れたところでやろうと、分けたのです。
―――とすると、ガス事業でつながりがある顧客へのアプローチはしていないのですか。
はい。入り口がガス屋ですと信用はあるのですが、全体的なスケルトン工事などにいかないのです。ガス会社の方でも弊社とは別にリフォームを行っています。
―――現在の御社の売り上げはどのくらいですか。
TAKEUCHIとしては3つの柱がありまして、1つは首都圏のリフォーム、それから空調・省エネのソリューション、もう1つが群馬のエネスタです。この3つで34億円ほどでして、大体3分の1ずつで構成しているイメージです。リフォームでいうと今期の粗利目標は4億円ほどです。
―――今後の展開は。
物販だったら店長さん1名おいてパートさんを雇ってもそれで成り立つじゃないですか。でもね、リフォームでそれをやるとクレームだらけになります。「お客様を喜ばせられないようなら手をだすな」という、古い中国の言葉があるそうなのですが、全くその通りだなと。だから、現在11店舗ですが、スタッフが育つまで新店舗は出さない。6月に新規出店しますが、1年に1店ぐらい出していく形ですね。

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