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インドネシアに職人学校開設5年後に30...

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インドネシアに職人学校開設 5年後に3000人育成体制へ

ROY
大石竜次社長
1607号(2024/07/01発行)17面
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リフォームや害虫駆除事業を展開するROY(神奈川県川崎市)は、4月、インドネシア・カラワンに職人技術と日本語が習得可能な建築研修センターを開校した。現地では日本から出向いた職人が技術指導し、受講生は日本の建築技術と日本語の習得ができる。昨年10月には、学校開設に先駆けて採用した約10人が特定技能実習生として来日。日本で技術を学びながら同社での業務に従事している。センター開校の経緯や今後の展望について大石竜次社長に話を聞いた。

半年間で職人養成が可能

日本の人手不足を解消

ROY 大石竜次社長大石竜次社長

──今回、職人技術を学べる学校を開校することにしたきっかけを教えてください。

2020年頃から、ベトナム人を中心とした外国人の特定技能実習生を採用していましたが、さらに採用数を増やそうとしたときに、時間がかかってしまい、思うように人数が集められなかったんですね。どうしようかという時に、紹介でインドネシアに行くと、昭和30年代のような純粋で真面目な若者がたくさんいる。そのまま10人くらいを採用しました。そして、1年くらいかけて、新たに開設したのが日本の建築技術が学べる建築研修センターです。

──日本の木造住宅を再現した建築研修センターのようですね。

ROY 現地につくった建築研修センター現地につくった建築研修センター

ROY 研修センターの内部空間研修センターの内部空間

今のような職人不足になることは、かなり前から分かっていましたし、学校がやりたかったんですね。どの国とまでは決めていませんでしたが、インドネシアの子たちと仕事をしてみて、これだと感じました。

インドネシアには、日本にまで来て家族のために、その足しになればと働きたい若者が大勢います。それなのに、現地ではなかなか仕事に就けない。大卒でも月収3万円ほどですが、そのお金をもらっている人も10人のうち半分以下です。日本の人手不足とインドネシアの雇用不足、そのミスマッチに貢献したいという思いもありました。

──学校運営の費用面は、どのように工面するのですか。

日本語学校の費用は生徒たちが負担しますが、トレーニング費用は採用する企業持ちで、当社の社員を講師として派遣するか、採用企業が派遣することもできます。現地での選考後に半年間学んでもらい、日本にきてもらいます。私どもの講師が教える業種は塗装、ハウスクリーニング、シングル屋根、クロス、水道、害虫害獣駆除、大工工事、太陽光発電システムの設置、左官でして、採用企業の希望でカスタマイズし、教えられます。

──今後日本で技能実習生の採用を希望する企業からの相談に応じていかれるということですね。

10月に来日した特定技能実習生はすでに、塗装や屋根工事といった当社の業務に就いています。仕事ぶりはとても良く、習得も早いです。たしかに言葉の問題はありますが、半年間日本語を学んでいるので、普通に会話できる程度にはなっています。

採用を希望される企業は、職人派遣業ではありませんので、現地まで面接に来ていただいて、採用をしてもらい研修をします。半年間で、即戦力になる人材を育てます。

業界と若い世代の希望になりたい

──これからの職人不足を考えると需要は高そうです。

現在は、依頼がすごくあり、待っていただいている状態でして、センターの体制が整ってきたら随時進めていきたいと思っています。学生は現状、午前と午後で各20人、計40人を受け入れていますが、今年は200〜300人、来年は500人、5年後には年間3000人の育成を目標にしています。

雇用を依頼される企業の負担は1人あたり50万円と、当社の育成費用です。自社で講師を派遣される際は、当然講師費用はかかりません。

──最後に、これから建設業に対する展望があれば教えてください。

建設業界からは壊滅的に人がいなくなっています。このままいくと、この国は本当におかしくなるでしょう。ですので、業界に貢献できればというのはもちろんですが、私はインドネシアという国が大好きなので、半分はインドネシアと日本の未来のためにやっているのもあります。

文化の違いはあると思いますが、若い人に希望を持って、活躍してもらわないといけません。そのためにも、頑張る人にできるだけ長くいてもらえるよう、国の制度づくりに基づいて、貢献したいと思っています。

ROY 駐インドネシア共和国特命全権大使 正木靖氏とROYの大石社長駐インドネシア共和国特命全権大使 正木靖氏とROYの大石社長

組織概要
法人名 :ROY
代表者名 :大石竜次
本社所在地 :神奈川県川崎市
設立年 :2009年1月
資本金 :9000万円
社員数 :320人
事業内容 :建築・土木工事、害虫害獣駆除、総合リフォーム、造園、電気工事、空調設備工事など
売上高 :65億円(グループ売上高)

インドネシアから来日した
第一期生の技能実習生3人の声

ROY Heni Fitriani(29) ヘニ フィトリアニさんHeni Fitriani(29)
ヘニ フィトリアニさん

インドネシアに戻り貢献したい

インターネットで技能実習生のことを知りました。3年間日本で働いて学んだので、インドネシアに戻って経験をもとに貢献したいと思っています。日本に来て、多くの新しい言葉や技術が身につきました。最初は、分からないことがたくさんあって大変でしたが、毎日仕事をしていくうちに、慣れてきたこともあります。例えば、清掃やクロスを貼るなど、難しいですが楽しくやっています。

仕事が大変でも、分からないことは先輩たちにゆっくりと丁寧に教えてもらっているので、心配はしていません。日本語がまだまだ未熟なので、12月には日本語の検定試験を受けるつもりです。分からない言葉が多いので、先輩に怒られることもありますが、日本語を上達させていきたいと思っています。

ROY Meylinda putri(21) メイリンダ プトリさんMeylinda putri(21)
メイリンダ プトリさん

いつか日本に行きたい

以前、兄のインスタグラムの写真で見た日本の建築物や新幹線が綺麗で、いつか日本に行きたいと思っていました。その後、日本語学校で4カ月くらい勉強しましたが、先輩がゆっくりと教えてくれて良かったです。

インドネシアにはクロスがなく、貼り方も本当に難しくてびっくりしましたが、やり方をゆっくりと教えてもらったので、楽しく働けています。先輩たちが皆本当に優しくて、以前足を痛めたことがあったのですが、休みにも関わらず病院に連れて行ってくれました。部長や先輩も、大丈夫かといつも電話で聞いてくれます。

旅行が好きなので、大阪や京都に行ってみたいですね。インドネシアでいろいろな山に登っていたこともあって、富士山に登ってみたいと思っています。

ROY Muhammad Saiful Rahman(21) ムハンマド サイフル ラームンさんMuhammad Saiful Rahman(21)
ムハンマド サイフル ラームンさん

日本の文化に興味があった

インドネシアで8カ月くらい日本語を勉強して、実習生になることを決めました。日本に興味を持ったのは、その文化に興味があったから。日本に来てからは、向こうで思っていたことは正しいなと感じることが多かったです。例えば、時間をしっかりと守ることなど、とても良いと思いました。今も仕事をしながら、日本の文化や技術を学んでいます。

仕事で間違いをした時に、きちんとできるかちょっと心配になることもありますが、先輩がゆっくり教えてくれるので、安心しています。日本にいる間に、いろいろな所へ旅行するつもりです。インドネシアでも有名な富士山にも行きたいですし、チャンスがあれば、日本語と文化についてもっと勉強したいと思っています。

この記事の関連キーワード : ROY インドネシア 害虫駆除 研修センター 職人 育成

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