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シナネンLP供給先の100万世帯にサービスを

シナネン LP供給先の100万世帯にサービスを

シナネン
﨑村忠士 社長
1046号 (2012/10/30発行) 7面
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シナネン 﨑村忠士 社長

シナネン 﨑村忠士 社長

総合燃料商社のシナネン(東京都港区、連結売上高2721億円)は「快適生活プロバイダー」をキーワードとしてリフォーム事業に本腰を入れ始めた。国内エネルギー需要が厳しい状況の中、約100万世帯にLPガスを供給する全国の販売店およびグループ会社の"ミライフ"でリフォーム事業拡充を図る。グループの将来像、戦略について﨑村忠士社長に話を聞いた。

提案の知識が最も大きな課題

 ―――地域密着が基本となるリフォーム事業において、既に顧客との関係性を構築しているガス事業者は、大きな強みを持っていると感じます。
私どもはエネルギーと住まいと暮らしの3つのサービスで地域のお客様の快適生活に貢献したい考えですが、住まいの事業の柱となるのがリフォームだと思っています。それは私どもの販社だけでなく、販売店さんも同じでして、ガスのお取引は現状維持か減るかもしれませんが、単純にエネルギーを供給するだけではなく、次世代エネルギーも絡めたリフォーム事業についてはまだ大きくできるのではないかと思います。

 ―――現在、全LPガスの供給先が約100万世帯あり、このうち22万世帯が直営ですので、販売店で潜在的なリフォーム顧客を78万世帯抱えているということですね。
販売店さんの数はシナネン会の会員数だけで約1300店あります。今後は太陽光発電の普及などによりエネルギーの構造そのものが変わっていくと思いますので、仕事の中身はエネルギーから外れませんが、変革していってもらいたい考えはありますね。

 ―――としますと、やはりシナネングループ直営の販売会社が単純なエネルギー供給の一歩先を先行して取り組む必要があると思います。具体的な試みとしてはどのようなことを進めていますか。
まず、リフォームに取り組む上で販売会社の社名がシナネン関東ガス販売ではやりたいことが伝わらないだろうと、私が社長のときに社名を変更しました。それが未来とライフをかけたミライフでして、ミライフ北海道、ミライフ東北というように、各地の販売会社の社名も順次変えていきました。

 ―――ただ、ガスの担当者たちはサービスの業務として採用され、教育を受けているので営業を行う風土があまりないという障壁があると思います。リフォームを定着させることは容易ではないですよね。
提案の知識がないのが一番大きい問題だと感じます。お客様との人間関係はできていますので、「奥さんリフォームやりませんか」と言うことはできますが、何か聞かれたときに何と答えればいいのか、基本的な知識に自信がないのですね。そこで、私がいた関東の販売会社は最後の3年間にその解決策を組織的に作っていきました。営業担当者には基本的に、全員にリフォームの教育をしていますので、提案ができる人間も育ってきています。また、自信のない社員には同行して教えながら、クロージングまで行う専任担当者を2年前につくり、配置し終わりました。

 ―――関東にあるミライフで営業は何名くらいいますか。
200名近くです。ただ、ガスの営業マンが現場立ち会いを日に3件抱えますともう仕事が回らなくなりますから、開栓の立ち会い業務はその担当者にやらせますが、リフォームはサポートできるようにするための、人員を今つくっています。

 ―――ただ、従来からガス機器の交換などは扱っていたわけですよね。50万円以上の工事はリフォームというように、金額で分けているところもありますが、御社は何をもってリフォームとしているのでしょう。
ガス事業者で給湯器の交換は当たり前なので、入れていません。給湯器交換の際に、浴室や他の何かの交換があれば、リフォームの実績としてカウントしています。直近では関東で年間5億円を目標にしています。

 ―――目標は達成しそうでしょうか。
5年前は上期に1000万円の予算を超えるような社員が1名とかでしたが、今は本当にたくさん出るようになりました。個人の目標達成も当たり前になってきました。

 ―――今後は顧客を呼んでのリフォームイベントの開催も考えられそうですね。
実は数年前にリフォームフェアをショールームでやることを義務付けたこともありましたが、成約につながりませんでした。提案力という根本の問題が解決していなかったのが原因でしょうね。それで専任者を入れたら、営業の最後はその専任の者が行ってくれるということで、自信を持って提案できるようになりました。関東のミライフは営業人員が所長を入れて240名くらいでして、今期に入った直後は80名くらいがリフォームの受注数がゼロでしたが、ゼロは今年の上期だけで50名に減りました。

 ―――成功の要因としては、先ほどもお話が出た通り、顧客との関係性が既にできているという点が大きいと感じます。
やはり1番の強みはよくお客さんの話が聞けるということですよ。ミライフでは1日に1回、多い人は朝晩、いろいろなお客様の家に顔を出しています。これは「ひまわり点検」と呼んでいまして、最低1年に1回、お客様宅に訪問し要望や不満を聞くのです。

 ―――そのほかに、ガスの検針員が訪問するわけですか。
そうです。検針員にもお客様にお声掛けをしてもらっていまして、そこからいろいろな情報が上がってきます。毎月1回会いますから、とても重要です。

 ―――顧客との接触頻度の多さはクレーム防止にもつながりますから、重要ですが、通常のリフォーム会社ですと、なかなかそこに人員を避けないのが実情です。
関東はリフォームの案件が500~600件ありますが、5年で私のところに上がってきたクレームは1件でした。お客様との付き合いのレベルが高いのだと思います。あと、原則同じ人間が行くので、顔を覚えてもらえていまして、電球を交換してくれないか、などの話を持ち掛けられることもある。そこからリフォームにつながるわけです。


会社概要
所在地 * 東京都港区 / 会社設立 * 1934年4月25日 / 資本金 * 156億3000万円
代表者 * 﨑村忠士 社長 / 従業員数 * 1432名 / 年間売上高 * 2721億円

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