みすゞ建設 宮下真一社長
相見積もりは全体の1割、高い生産性を実現
リフォーム単体のPRはゼロ。スタッフ6名のうち営業は1人もいない。そんな状況で、みすゞ建設(東京都武蔵野市)は毎年4億5000万円以上のリフォーム売り上げを続けている。口コミで自然と受注が取れる体制を築く同社の宮下真一社長に地域密着の戦略を聞いた。
積極的に地域の祭りなどの協力を行う
大型受注が増加
―――前期の売り上げはどうでしたか。
リフォームの売り上げは前期が4億5160万円(全体売り上げ25億円弱)でした。売り上げはここ5年ぐらいほぼ変わらず、4億5000万円以上をキープしています。特に新築やリフォームOBの方からの受注が多く、新規の方からは2~3割くらいですね。最近は1000万円や2000万円など新築なみのリフォーム工事が増えています。
―――集客にはどのような手法を用いていますか。
実は訪問営業やチラシ配布など、リフォームの営業活動は一切していません。
―――そうしますと新規の方はどうやって御社ことを知るのでしょう。
建て替えなどのPRはしているのと、40年以上の歴史がありますから、そこに住んでいる方同士のお知り合いからの依頼も結構あります。
―――口コミが多いわけですね。
口コミもあるし、今まで吉祥寺のほとんどの通りで何かしらの工事を行ってきていますから、隣が現場であったなどで知られているのだと思います。
―――でも単に長く会社を存続させているだけでは、シェアを獲得するのは難しいと思います。御社の強みとは。
例えば売り上げにならない工事です。年間650件の工事のうち、4分の1ぐらいは細かい仕事なのですが、その中に無料で行っているものがあるのです。例えば水道の水が止まらないなどの際、パッキンの交換ぐらいはサービスです。みすゞの制服を着ているスタッフが経理に対して請求があがってくる工事でなければ大概はサービスですね。そうしたことで、どんなことでも弊社に頼めばやってくれるということが浸透していると思います。
―――つまり、地域の方に社名を知ってもらっているということですね。他に認知度アップの活動としてどんなことをしていますか。
年末に何年も配り続けているカレンダー、それから色々な地元の会への参加や、工作教室などをしています。
―――地元の会とは。
例えば練馬区に立野公園という公園がありまして、そこで父兄の方と小さい子が一緒に遊ぼうという「どんぐり山プレーパーク」という会があります。ここのオリエンテーションで、のこぎり、かなづちを使った工作をしているのですが、その材料として現場で出ている端材などを提供しています。ほかにも、1月のどんと焼きや、夏祭りの設営などの協力を、無料で行っています。別に「設営・みすゞ建設」などと入れていません。
―――それで効果があるのでしょうか。
AKBを使って民法にゴールデンタイムでスポットCMをうつよりも、費用対効果は高いと思います。信用度でいうと、なりふり構わず仕事をなんとしてでも取ろうという会社と比較し、会社の名前を表に出さないが地道な活動をしている会社の方が、いざ何か頼んでもらえるのではないでしょうか。ただ、時間がかかりますが。
―――競合はありますか。
逆に競合になったら負けるかもしれません。相見積もりは月間40~50件の工事があるとして、1割あるかないかです。
―――OBの方の数は。
新築は分譲住宅や昔行っていたマンションも含めると3000件ぐらいです。それにリフォームも含めると倍ぐらいですね。

所在地 * 東京都武蔵野市 / 設立 * 1967年5月
資本金 * 9100万円 / 代表 * 宮下真一氏
事業内容 * 注文住宅・分譲住宅の建設、ビル建設、リフォーム、不動産賃借業、ホテル経営

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