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ミシマ、屋根事業で前期売上49億

ミシマ、屋根事業で前期売上49億

ミシマ
齋藤 勝 社長
1028号 (2012/06/12発行) 6面
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ミシマ 齋藤 勝 社長

ミシマ 齋藤 勝 社長

ハウスメーカーを主体に屋根材販売と屋根工事請負業を行うミシマ(東京都大田区)は近年、業界に先駆けて行った太陽光事業が好調で、前期は49億1000万円を売り上げた。齋藤勝社長に同社の戦略とこれまでの歩みを聞いた。

ミシマは今から18年前の平成6年から太陽光事業に参入した。当初、案件は数えるほどしかなかったが、現在ではハウスメーカーの請負工事を中心に年間の施工件数は1000棟を超え、事業の柱の1つとなっている。

太陽光事業平成6年に参入

 ―――太陽光事業に随分早い段階で参入しましたね。平成6年というと太陽光が市場に初めて出た頃ではないですか。
住宅用太陽光をシャープが発売した当初から取り扱いを始めました。太陽光は一般的に電気関連の事業と思われるかもしれませんが、屋根に載せる割合が99%以上ですので、これは屋根会社の仕事であると直感したのがきっかけです。最初の販売価格は1000万円ほどでしたが1年〜2年経つと600万円になりました。数は少なかったですが、販売を行う企業が少しずつ増え、メーカーからの紹介で北海道から九州まで施工を行いました。

 ―――急速に拡大したのはやはり国の補助金が設けられてからでしょうか。
補助金が再開された平成21年(2009年)からです。パネルメーカーとしては京セラとLIXILを主体に取り扱っています。当時京セラはハウスメーカーへの販売力が強くありませんでしたので、私どもが屋根事業で培っていたハウスメーカーとのパイプを利用し、一緒にやろうという話になりました。一方、LIXILの商品を取り扱うようになったのは、アイフルホームに加盟した全国のFC店や下請けの屋根工事会社に太陽光設置の指導をしていた関係です。施工先は新築が95%で既築が5%ぐらいです。

 ―――最近はミサワホームが軽量化したオリジナルの太陽光パネルを開発したように、各ハウスメーカーで既存OBへの設置提案に力を入れています。施工件数も伸びているのではないですか。
昨年が1440棟、一昨年が1200棟、その前が800棟です。ただし、材工での案件は減ってきています。理由はハウスメーカーも新築の太陽光搭載率が上がっているので、機器は自分のところで調達するようになったからです。年間1000棟の新築を手掛けるハウスメーカーが30棟ほどの太陽光でしたら材工の依頼になっていましたが、搭載率が4割になったら、各社が直接購入する形に変わりました。そのため、取り付けだけをするケースが多いです。

 ―――そうなると材工での請け負い割合はどのくらいですか。
約半分です。材工で受けるケースだと1件当たり、大体180~190万円の受注になります。

 ―――最近は太陽光への参入が多く、雨漏りなどの事故が社会問題となっています。やはり、御社のような屋根の専門家が施工する形が望ましいと思うのですが、なかなかそうした流れにはなっていません。
それは原因がありまして、特に新築の場合、屋根事業者が太陽光事業をやるとなると資金面が大変なのです。3年ぐらい前は3.5キロワットで200万円程で、そのうち機器代が160万円ぐらいです。5件もやると800万円となる。仕入れは即金に近い形ですが、回収は3ヵ月後です。それが3ヵ月も続くと2000~3000万円の運転資金が要ります。また、太陽光の取り付けは通常業務と異なりますから、時期によっては職人の数が足りなくなり、本業の屋根工事がやりきれなくなります。ただ最近はハウスメーカーの依頼で屋根工事の際に設置もしてほしいという話がでてきました。それで屋根工事会社の設置件数はかなり増えています。でも既存住宅はあまり増えていません。

一時期は住宅建築も実施

 ―――最初は屋根材料の卸問屋からスタートしましたよね。一時期は住宅建築なども行っていたようですが、どのような歩みを進めてきたのでしょうか。
当初の取り扱い商材は釘や針金など屋根材の付属品です。その後、昭和30年代後半になってから田島ルーフィング、日新工業などが製造を始めたPタイルが最初に販売した建材でした。他にも化粧合板や照明、住宅設備機器、浄化槽、サッシなども扱い出し、最終的には建築部を作り、住宅の請け負いも行いました。一時期は池袋の住宅展示場にモデルハウスを設けていたこともあります。ただ、昭和48年に第一次オイルショックで、一気に状況が厳しくなり、60人ほどいた社員も30人リストラし、建築事業など屋根以外の事業を全部やめ、屋根材に特化したのです。

 ―――なるほど、その後はハウスメーカーなどの屋根工事業を広げていったわけですね。
結局、屋根材以外は大手建材商社がいますので私どもは2番手、3番手になってしまうのです。それで屋根材に特化し電鉄系や不動産会社などの大規模分譲地の工事をしたのです。町の工事会社は一度に80棟や90棟などの数を受けきれないじゃないですか。そこに当社が入って、工事を行いつつ、専業の職人を雇い育て、工事業に転換していき、バブル時期に一気に屋根材販売と屋根工事業の基礎が確立できました。今は年間約6000棟の屋根工事をしています。

 ―――そうした中で、リフォーム事業も始めたのですね。現在は屋根、外壁、太陽光の取り扱いがありますが、いつごろからだったのでしょう。
20年くらい前からです。ただ、結局当社の特徴はサービス業ではなく、工事業なので、チラシ配布やリフォームショップの立ち上げは行ってきませんでした。それは商売が全然違うと思ったからです。リフォームの中でも屋根の修理や葺き替えは優先順位として下のほうですよね。ただ、太陽光を扱い出して考えが変わってきました。太陽光設置時には屋根の葺き替えもあるでしょうし、瓦は修理とかもでてきます。その際、垂木や野路板の調査も可能となり、新築時とほぼ同じ状態にできます。すると、屋根工事の10年保証などもつけられます。

 ―――全国11カ所営業所がありますがそこもリフォームPRに利用していますか。
先々は考えています。新規でリフォームショップを設けると投資金額が必要になりますから、今の事業所の一角に受付窓口を設置して、その営業所のエリアの一般ユーザーへのPRはしてみたいです。将来的には売り上げの3割ぐらいはBtoCをやりたいですね。

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