リンナイ 内藤弘康 社長
住宅設備建材メーカーのトップにインタビューする「暮らしのリフォーム」。技術革新、モノ作りの力で、人々の生活をいかにして良くしていけるかを尋ねる。第1回は、給湯器、ガスコンロでトップシェアを持つリンナイの内藤弘康社長に聞いた。
―――聞き手 : 本紙社長 加覧光次郎
欲しいと思った瞬間に人の財布のひもはゆるむ
――Siセンサーコンロが義務化されて、ここ5年間でビルトインガスコンロの主流がすっかりガラストップ式に変わりましたね。しかしガラストップコンロは、随分昔から作られていたようですね。
うちは昔から、ドイツのショット社というガラスメーカーと仲が良くて、出しては失敗してを繰り返していたんですよ。
――試作とかは20数年になるんでしょうけれど、最初に商品として出されたのは、いつ頃ですか?
今から15年前です。しかしその頃はコンロっていいますと、壊れたら、しょうがないから取り換えようと買いに来るようなものでね。ガラストップって無膨張性ガラスといって特殊ガラスで高いんですよ。ですから出始めの頃は、非常に高くて、それまでの倍くらい。社内でも「そんなに高くて買う人がいるんかいな?」と言っていましたね。
――色々と議論があったわけですね。
ええ。ところがその後10年ぐらい前、IHヒーターがずっと伸びてきて、再トライをすることになったのですが、今でも忘れられない話があります。名古屋で東邦ガスさんのガス展があって、私はそこにいたのですが、夫婦連れの方がガラストップの製品の前にいらして、奥さんが旦那さんの袖を引っ張って「これが欲しい」って言うんです。私はその女性の目を見まして非常にビックリしたんですね。これまでコンロの販売でこんなに輝いた女性の目を見たことがなかったので。
――しかし、当時の感覚ではかなり高額な商品だったのでしょう。
当時、ビルトインコンロで14~15万円くらいのものがありましたので、その倍くらいの30万円でしたかね。でも結構売れたんですよ。そのとき思ったんです。「欲しい」と思った瞬間に人の財布のひもはゆるんでいくものだって(笑)。
――ガラストップは、デザイン性と同時に掃除のしやすさも主婦に受けた点だと思いますが、他にも最近のコンロは、タイマー付きになったり、ホント、高機能化しましたね。
ぜひ、そこでお勧めしたいのが炊飯機能です。ボタン1つでご飯が炊けるのは新鮮な感じでしょう。え?こんなんでご飯が炊けるの?って。でも見事に炊けるんですよ。3つのコンロの1番奥に付いています。それでご飯を炊いて、そのご飯と納豆で毎朝、私は食事をしています。それが楽しみなんですよ(笑)。
――ところで、リフォームマーケット、住宅設備マーケットの最大のライバルは、実はコンビニじゃないかと思うんです。コンビニは中高年にシフトし、簡単に電子レンジで温めて食べられるような物を販売していますね。とくに老夫婦だと「もう料理するのが面倒くさいからあれ買って済ませよう」ってなっちゃうんです。そうなると、とくにグリルなんかは、いらなくなるんじゃないかな、と。グリルは掃除は嫌だし、臭いも嫌だって。
実は私どもから見ると、デザインの一番の制約になっているのがグリルなんです。グリルがなければ、デザインの自由がきくんですね。でもグリルがないと、使う使わないにかかわらず、今はまだ購入のチョイスの対象にならないみたいです。
――御社のビルトインコンロ「デリシア」の機能で、注目しているのはグリルの「スモークオフ」です。あれ、さんまやアジの開きを焼いても、煙は81%、臭いは99%カットするってスゴイな、と思いますけど、本当ですか(笑)。
もちろん裏付けのあるものです。排気の通路に小さいバーナーがあって煙を焼き切っちゃうんですよ。煙は、まだ不燃物が残っていて、それを完全に焼き切るとCO2になるんです。
――我が家では、家でさんまを焼くのをカミさんが許してくれないんですよ。
それはもう「デリシア」ですね(笑)。

最新記事
この記事を読んでいる方は、こんな記事を読んでいます。
- 1656号(2025/07/14発行)11面
- 1655号(2025/07/07発行)19面
- 1655号(2025/07/07発行)16面
- 1655号(2025/07/07発行)17面
- 1653号(2025/06/16発行)12面