有料会員登録で全ての記事がお読みいただけます

不動産事業者がリフォーム売上高12億副...

不動産事業者がリフォーム売上高12億 副都心グループ

副都心グループ
佐藤直樹 社長
1020号 (2012/04/10発行) 4面
このエントリーをはてなブックマークに追加

副都心グループ 佐藤直樹社長

副都心グループ 佐藤直樹 社長

1300万円以上のリノベーションを年間39件受注

「中古購入者をいかにリフォームにつなげるか」。北海道札幌市の副都心グループでは昨年度からその課題に本格的に取り組み、1300万円以上のリノベーションを39件受注した。結果、前期のリフォーム売り上げ(グループ会社のコーディ)は前年度比150%以上となる12億5000万円を記録。同グループ佐藤直樹社長にリフォーム受注拡大に向けた戦略を聞いた。

築10年以上は9割がリフォームに

 ―――全国で言うと不動産売買は三井不動産販売や住友不動産といった大手が強いですが、札幌では高いシェアを取られていますね。
札幌の中古流通ではシェアが20%超えていまして、件数にすると年間の中古住宅取り引き数は1250件ほどです。マンションと戸建ての割合は約5.5対4.5。取り引き全体で6割ぐらいがリフォームにつながっていて、特に築10年以上は約9割がリフォームに結びつきます。

 ―――ただ、不動産売買事業者の多くは手間がかかるリフォーム事業を嫌がる傾向があります。
私ども不動産事業者は怠け者なのです。少し前までは右から左に中古住宅を原状のまま流通していました。今のニーズはお客様に会った瞬間にリフォームを考えた不動産のコンサルをする形です。これができない不動産事業者は消費者に選ばれなくなると思います。また、価格査定についてもいいかげんです。建物も築年数だけで査定していますし、真剣に建物を評価できる技術や能力もありません。そこで今、私自身で中古流通を増やすためのキーワードを6つ挙げています。それは『透明性・納得性・安心・安全・快適性・将来性』です。これらを提供できないと中古流通が活性化しないと考え、キーワードに基づき仕組みを構築しています。

 ―――具体的にはどのような仕組みを作ったのですか。
1つは建物診断です。売却の依頼を受けた際、中古戸建てに関してはすべて建物診断を行うようにしました。グループ会社のコーディがJIOの検査人になっていまして、通常は4~5万ほどかかる診断を、無料で行っています。建物の状態がわかるので、直すにはどのくらいの費用がかかるかの見積もりが出せます。

 ―――そうなると建物診断で問題が生じた際は売り主が直すのですか。
いえ、売却の前に直す人は少数です。ただ、建物診断は価格の正当な交渉になります。買い主は50万、100万円安くしてほしいとよく言いますが根拠がありません。診断結果をもとに「ここを直すために10万円まけてくれ」という話をすると売り主も納得するのでスムーズな取り引きにつながります。

 ―――買い主にとってみると今まで不透明であった建物状況がわかるので、選びやすくなりますね。
そうですね。建物診断の導入から売買時にリフォームにつながる割合も1割ほど増えています。大型案件も増え、昨年度は金額が1300万円以上の戸建てリノベーションを39件受注しました。

 ―――診断がさまざまなプラス効果を生んでいます。
以前は築年数が経過した住宅は更地にして売っていましたが調べるとまだ使えるものが多くあります。築20年以上の住宅を残す際は、診断がポイントになるわけです。ただ、耐震基準が変更された昭和56年以前は土台がおかしいなど、建物を直しても難しいケースが多いです。実際、築40年以上の住宅のリノベーションもやりましたが、基礎の補強の必要性から、ほとんど利益が出ませんでした。良い勉強になったと思っています(笑)。

初回面談で提案

 ―――大型受注につなげるためにどのような提案を行っているのですか。
お客様との初回面談で、リフォームの話をしないといけません。今までは予算が2000万円だとすると2000万円の不動産を紹介していました。そうすると当然リフォームの予算はありません。ただ、1500万円の不動産に500万円のリフォームをしても、1000万円の不動産に1000万円のリフォームをしても合計は2000万円となるわけです。最初にこの考え方をお客様に説明します。その後、実物を見て比較してもらいます。すると1000万円のリフォームをした方がずっと良く見えてしまう。この話は最初にしないと絶対にだめです。

 ―――リフォーム後にどう変わるかの具体例を示すことが重要です。以前取材した不動産事業者も仲介時にパースを使った提案を行っていました。
戸建ては専任媒介契約を結んだ時点でプランを立てています。それは建物診断をしているのでできるのです。間取りまで変えるリノベーションだと、このくらいの費用でこんな形になる、そこまでやらなくてもリフォームだとこうなるなど3段階で価格を提示します。お客様は高額リフォームでどう変わるかがわかりません。そこで、劇的に変わった築30年の物件の事例ビデオも作りました。提案の中で見せたり、聞かせたりするビジュアル性のあるツールが必要です。

 ―――大型リフォームが増えていますので、1件当たりのリフォーム費用が大きく変化したのではないですか。
一昨年のコーディのリフォーム単価は80万円ほどでした。しかし、この1年間で140数万円まで単価が上がりました。1500万などの案件を約40件受注していますから、それだけでも5~6億円です。結果、昨年度は4億5000万円売り上げが伸び、売り上げが12億5000万円になりました。今期のリフォーム売上高は16億円強を目指しています。

 ―――首都圏では戸建てよりも中古マンションとリフォームを絡めた提案を行うケースが多いようです。御社では行わないのでしょうか。
これからマンション攻略をしようと動いています。マンションは定額制が良いと思っていまして水回りだといくら、スケルトンだといくらと商品化する予定です。5月くらいから本格的に行います。

毎日ニュース配信中!リーフォーム産業新聞公式LINE

リフォーム産業新聞社の関連サイト

閉じる