ワンオンワン 中嶋宏一 社長
犬種特性に基づくアドバイスが強み
日本の犬・猫を合わせたペットの数は15歳以下の子供の人口を大きく超えた。もはやペットは飼い主にとって家族同様の存在。リフォーム市場人口の47%が愛犬家というデータもある。その中で人が犬と快適に暮らせる「愛犬家住宅」を提案する株式会社ワンオンワン(東京都港区)が注目されている。犬と暮らす住まいをキーワードに様々な業種との連携を広げているのが、同社社長の中嶋宏一氏だ。
「お客様には必ず『ワンちゃんを飼っていますか、これから飼うつもりありますか』と尋ねてほしい。これはキラートークになる。飼っていれば悩みを聞くことで受注につながるし、これから飼いたい人には犬の習性を説明して『今から犬のことを考えてリフォームを』と提案できる。愛犬家は散歩を介した地域のコミュニティができているので、1軒受注できたら他にも広がりやすい利点がある」
同社は「愛犬家住宅コーディネーター」資格の通信講座と、全国規模で愛犬家の住まいづくりのノウハウを共有する「愛犬家住宅ネットワーク倶楽部」を運営している。
愛犬家コーディネーター資格の合格者は現在2700人ほどで、有資格者は毎年800人の割合で増え続けている。講座受講者の7割は企業で、ハウスメーカーや住宅設備機器会社、工務店の社員など。愛犬家住宅コーディネーターは講座を通じてドッグライフと建築知識の両面が身に付くので、犬種による違いやしつけなどを踏まえトータルで施主への提案ができるのが強みだ。
「愛犬家は飼い犬の吠え声、臭いなどの悩みを持っているが、その悩みは犬種によって大きく違う。たとえば、ミニチュアダックスは音に反応して吠えるのが習性。ダックスの飼い主が無駄吠えに困っていたら、コーディネーターは"リフォームして外の音を遮断する2重窓をつけては"というように、トラブルを解決し顧客満足度を高める提案ができる」
また同社運営の愛犬家住宅ネットワーク倶楽部は、全国の工務店やビルダーを中心に160社が加盟。メンバーは愛犬家住宅のノウハウの共有や、愛犬イベントの開催支援などを受けられる。
「犬を中心にすると、リフォームだけでなく様々な業種と連携しやすくなる。たとえば犬の8割は室内飼いといわれるが、犬のため1日中エアコンと照明をつけたままという飼い主に、エネルギー会社と共同で省エネ住宅の提案をしたり、犬を飼うと車を購入する飼い主が増えるので、地域のカーディーラーとも連携できる」。中嶋社長は今後、ペット共生型の賃貸住宅や、愛犬家向けリノベーション住宅も考えていくという。

最新記事
この記事を読んでいる方は、こんな記事を読んでいます。
- 1656号(2025/07/14発行)11面
- 1655号(2025/07/07発行)19面
- 1655号(2025/07/07発行)16面
- 1655号(2025/07/07発行)17面
- 1653号(2025/06/16発行)12面