朝日リビング 齊藤新 社長
賃貸集合住宅を中心に、リフォーム・リノベーションを行う朝日リビング(大阪府大阪市)。前期の売上高89億円(前々期比123%)と業績を伸ばす中、今年3月に社長に就任した齊藤新氏に、今後の経営戦略などについて聞いた。
保守管理部門を新設
――新社長に就任されて、当面どのような分野に最も力を入れる方針ですか。
社員や協力業者の意識改革を図っていくことが最重要課題です。当社のホームページにも掲載している企業理念「リフォームという住生活との接点を通じて社会への貢献や環境への取り組みを積極的に行い、朝日リビングに関わるすべての人と家族の幸せを実現します」は、私が副社長時代につくったものですが、これを実践していこうと。社長就任以降、夕礼で「社員、顧客、協力会社、株主など、皆が幸せにならないと、この会社は続かない。実現できると思って、仕事に取り組もう」と企業理念の徹底を図ってきました。
協力会社の方々とも連日のように飲み会を開いて「気持ちを一つにしてほしい」と顧客満足度重視を訴え、皆さんに賛同していただいています。また、従来のトップダウンからボトムアップへの転換を図るため、全支店を回って「こうすればもっとよくなると思ったことがあれば、どんどんあげてほしい」と伝えてきました。たとえ社員の意見を否定する場合でも、きちんと理屈をつけて相手を納得させることができれば、次の機会につながります。
――ボトムアップ型にするには、何が必要でしょうか。
社員一人一人が考える習慣を身に着けることが大切です。「作業服が制服」という制度を廃止したのも、たとえば顧客を訪問する際、作業着とスーツではどちらが適切なのか考えてほしいからです。様々な場面でなにを、どうすればいいのか、個々が考える会社にしたい。考えるからこそ意見もでてくると思うので。
ニッチで独自性発揮
――「御社に関わるすべての人」には当然オーナーさんも含まれると思います。顧客満足度を重視する具体的な戦略はありますか。
5月に保守管理部門を立ち上げました。工事が終わった段階で保守管理部が担当を引き継ぎ、オーナー側に立った保守を行っていきます。メンテナンス面では「ちょこっと大工サービス」もあります。職人が1~2時間程度でできる軽作業は無料で行うもので、おかげさまで好評です。
今後は保守も受け身ではなく、顧客目線で本当に必要なものについてはこちらから報告していきます。また、完工後保守管理部が訪問して「オーナーアンケート」を実施することで、オーナー側の率直な意見・評価を今後の現場に反映できるようにしていきます。
――いわゆるリピーターの確保も重要な経営戦略と位置付けているわけですね。
ハウスメーカー、ゼネコン、ホームセンターなどリフォーム市場に異業種の参入が相次ぐ中、当社のような専業が生き残るには顧客満足度を高めるしかありません。中長期の成長戦略を考えると、売り上げが伸びている時期だからこそ、攻め一辺倒ではなく、あえて守りも固めたい。
――オーナー満足度向上以外では、どのような分野に力を入れていく方針ですか。
賃貸のリノベーションは、入居率を考慮し、付加価値をつけることを提案していますが、重要なのはコストに見合う効果です。すべてのオーナーさんから「賃貸のリノベーションをやらせたら、その費用対効果は朝日リビングが業界ナンバーワン」と言ってもらえるようになりたい。ペット好き専用とか、サーファー向けとか、ニッチのニーズに絞って入居率アップにつながった成功例も多々あります。
――業績面で中期的な目標はありますか。
業者のモラル向上を含め、顧客重視の体制を整えたうえで、3年後に売上高100億円達成が目標です。100億円に到達しても、続かなければ意味がないので、達成後は大台を維持していきたい。そのためにも、目先の売り上げではなく、中長期の成長戦略が重要です。
――人事面でも中長期的な方向性を示されているそうですね。
女性を積極的に活用していきたいと思っています。もともと、リフォームは女性が活躍しやすい業界ですが、当社の女性スタッフは皆優秀です。3年以内に女性の役員を1人、所長を東西で1人ずつ、営業担当を10人くらいにしていく予定です。また、社内の評価制度を変え、「仲間を思いやりチームワークを大切にする」という行動理念を実践していきたいと考えています。

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