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ノーリツ國井社長、業界初の「スマートコ...

ノーリツ國井社長、業界初の「スマートコンロ」先進的な操作性・マルチグリル・スマホ連動

ノーリツ
國井総一郎 社長
1138号 (2014/09/30発行) 24面
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ノーリツ 國井 総一郎社長

ノーリツ 國井 総一郎社長

画期的なビルトインコンロでリフォーム需要喚起

 ノーリツは、これまでのガスコンロのイメージを打ち破ったデザイン、機能を備えたその名も「スマートコンロ」を今月、発売開始した。國井総一郎社長自らが"独創的"かつ"画期的"と意気込む新商品について、その魅力やこだわりを聞くとともに「新しい幸せを、わかすこと。」という同社のビジョンについて話を聞いた。

(聞き手/本紙社長・加覧光次郎)

 

画期的なガスコンロとして前評判も高い「スマートコンロ」
画期的なガスコンロとして前評判も高い「スマートコンロ」

多機能商品で単価アップと需要喚起

――今度の新商品では、女優の堀北真希さんを使った「おいしくな~れ」のテレビCMもかなり頻繁に流していますね。手応えはどうですか。

 メーカーの役割は魅力ある商品を提供し市場を創ることだと思いますが、給湯器やコンロは機能の差別化を訴求しにくいので、独創的で画期的な新商品を出したいと常に考えています。今回は、それこそリフォームのきっかけとなるような商品が出来たという手応えがあります。6月に発表した当初は年間6000台の販売計画でしたが、おかげさまで、すでに年内3500台以上の受注が入っています。

――着脱可能な点火スイッチやスマホ連動機能などはまさに「スマート」らしいところですが、それにも増してこれまでのコンロではいわば必需品だったグリルの「焼き網」をなくしてしまったのは、随分思い切ったチャレンジでしたね。

 スマートコンロのグリルは清掃性に課題のあった「焼き網」をやめて、代わりに2種類の「プレート」を使う"マルチグリル"を採用しました。さらにグリル底面にはバーナーを設置し、下からの炎で今までになかったグリル調理が手軽にできます。焼くに加え、煮る、蒸すこともできるので、魚焼きグリルというよりもむしろ、コンパクトなクッキングルームに近いです。

――このスマートコンロ、価格は33万8000円と聞きましたが、ちょっと前までビルトインでもせいぜい10万円くらいだったのを考えると、ホント、時代は変わりましたね。ところで國井さんは以前、子会社でコンロを作っているハーマンの社長をされていましたよね。

 ええ、2002年から2年間、副社長を経て社長を務めていました。実はその時「スタイリッシュブリンク」という多機能ビルトインコンロを発売しました。今は当たり前になりましたが、魚を
入れたら自動で焼き上げる「オートグリル機能」等、便利な機能が付いて20万5000円。当時の売れ筋商品と比べるとほぼ倍の金額でしたが、これが今の「スマートコンロ」につながる最初の商品でした。

――しかし、2002年といったら、まだビルトインコンロもSiセンサーやガラストップ式になる前のことでしょう。

 当時ハーマンの営業社員が300人くらいいましたが、全員が口を揃えて「20万円を超すコンロが売れるわけがない」と言いました(笑)。でも当時のハーマンは業績が良くなかったので、営業マンを集めて「とにかくこの商品で会社を変える。だから徹底的に売ってくれ」と発破をかけたところ、9月に販売開始して11月には7000台も売れました。本当に不思議なもので、あそこで売れた、ここで売れたと、小さな会社なので、一人の自信が全員の自信に瞬く間に広がり、会社が強くなるんですね。

―― 社長の切実な思いが伝わったのですね(笑)。しかし考えてみると、システムキッチンのビルトインコンロが交換できるということを最初に世間に向けて知らしめた商品かもしれませんね。

 と思います。木建ルートなどの得意先は、いち早くそこに気付かれ積極的に取り扱っていただけるようになりました。また私自身も、それまで給湯器の開発一筋でしたが、ハーマンで初めてコンロの商品開発に出会い、面白いと思いました。給湯器は完全に設備機器でリモコンを押すだけのものですが、コンロは楽しみながら使いこなす道具です。

 また、展示会などでコンロは実際に調理しながら売る。これを「味のプレゼンテーション、通称味プレ」と呼んでいますが、ハーマンが確立した売り方です。他社がやらないことをやる。この精神で今では、営業マン全員がやっています。

社長以下、社内を盛り上げ販売につなげる

――そうした活動を通じて、家庭の奥さんたちがキッチンのコンロをより使いやすくて料理が楽しくなるものに変えようと気付き出したら、もっと需要は伸びるでしょう。実は最近、注目しているのは、エディオンやジョーシンなど家電販売店のリフォーム事業なんですが、彼らは例えばレンジフードのフィルター販売の延長で換気扇の取り換えリフォームまで受注しています。ビルトインコンロの交換同様、レンジフードの取り換えも「そんなことできるの?」と思っている消費者はまだまだ多い。ここに膨大なリフォームの潜在需要が隠れていると思いますよ。

 今、取り組んでいるのは、"コンロ+レンジフード"のリフォームです。日本はコンロとレンジフードのメーカーは別々ですが、中国やヨーロッパなどはほとんど一緒です。当社の子会社「櫻花中国」は、もともと台湾のコンロのトップメーカーで、レンジフードでもトップですが、面白いビジネスモデルを作っています。レンジフードのフィルターは、取り換えサイクルが短い。そこに目をつけ、毎年1回、フィルターを無料でお客様にお送りし、そのタイミングで「お調子伺い」をします。これで大成功しています。レンジフードだけでなく、「コンロはどうでしょう?」「給湯器は大丈夫?」って。 商品開発面でも、コンロとレンジフードをセットで考えると、今、連動する商品もありますが、ほかにもできることがたくさんあると思いますよ。

――ところで今年春に子会社の「ハーマン」ブランドも「ノーリツ」に一本化しましたね。

 私もハーマンにいましたので、その歴史あるブランドを統合することには自問自答を繰り返しました。ただ、現在進めるブランド力強化に向けた活動の中で、コンロのブランドも一本化した方が、その効果が最大限に発揮できると判断しました。今年は、この商品に徹底的にターゲットを当てて、お客様の新しい幸せをわかしていくことに全員で取り組んでいます。

――グループ社内も盛り上がっているようですね。

 今、中期経営計画のビジョンで「新しい幸せを、わかすこと。」を打ち出していますが、「新しい幸せ」とは"人と地球の笑顔"につながることで、"人"はもちろんお客様の気持ちをわかす、感動していただく意味ですが、次は社内なんです。当社は、社内が盛り上ると商品も必ず売れます。その気持ちがお客様に向かっていきますので。

 先日の全社朝礼で私は社員に向けて「スマートコンロのここが独創的で画期的だ」と特長を説明し、最後に「だからみんな買ってよ!」と(笑)。当社OB会でも説明を同様に行い、最近では"ジャパネット國井"って呼ばれています。(笑)。それにならって得意先向けの方針発表会でも、当社の役員自ら、実機を壇上に上げてピンマイク付けて説明したところ、やはり皆さんの心を掴みました。今、社内はスマートコンロ一色で、グッと盛り上がってきています。この勢いで得意先の皆さまと一緒に市場を喚起していきます。

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