山善 長尾雄次 取締役 上席執行役員 住建事業部長
全国42カ所で630億円
全国42カ所で住宅設備・建材の卸事業を手掛ける山善(大阪府大阪市)。住建事業部の売上高は前期ベースで約630億円。長尾雄次取締役上席執行役員・住建事業部長は「これまでは新築がメーンだったので、遅れていたリフォーム分野を強化していきたい」と話す。
前期は18%増収
―― 住宅設備・建材の卸事業を行う住建事業部はまもなく50周年になるそうですね。
1965年にできましたので来年50周年です。現在は北海道と沖縄を除く全国42カ所に拠点があり、270人の正社員がいます。エリア的には西が6割、東が4割。そういう意味では東が弱いのですが、2020年の東京オリンピックを見据え、"オリンピックシフト"しています。例えば、西にあった建設資材部というものを今年の4月1日にまるごと東京に移したりしています。
―― 住建事業部の売上高はどれくらいですか。
前期は630億円です。駆け込み需要や太陽光のウエートが上がったりして、前年比18%アップでした。今期については前年比98%の620億円。事業環境を考えるとこういう計画にならざるを得ませんでした。来期は660億円を計画しています。
有望市場に焦点
―― 今後は年間の新築着工戸数が80万戸台に落ち込んでいくとも言われています。今期はどんな点に取り組んでいますか。
今期の取り組み方針の1つに、「有望市場へのパワーシフト」というものがあります。有望市場というのは、リフォーム市場、省エネ関連市場、海外市場、ネットビジネスの4つです。
――リフォーム市場についてはかなり注目しているようですね。
これまでは新築メーンできていたので、リフォーム市場については遅れていました。そこで今期は"3本の矢"を投入しています。1つ目の矢はリフォーム・リノべ会社の一斉新規開拓。2つ目は今年の春に量販店推進専門チームというものを作りました。3つ目は、当社自身が中古流通を含めたリノベーション事業を検討しています。
――リフォーム・リノべ会社の開拓は進んでいますか。
リフォームの一斉新規開拓を進め、先月で220社くらいになりました。不動産会社の子会社とか住宅会社のリフォーム部とかが多いですね。
1から量販店を支援
――2つ目の量販店推進専門チームとは何でしょう。
チーム名は「リテールワークス」といいます。今年の5月1日にマーケティング部内に設置しました。目的は取引関係の深い量販店に対してリフォーム事業を推進していくことです。量販店というのは家電量販店、ホームセンター、GMS、ネット通販もそうですね。
――リフォーム事業の立ち上げにまで関わると。
量販店はリフォーム事業を始めてはいるんですが、うまくいっていないところもある。その原因は、量販というものは、「店舗」と「展示」と「価格」の3点セットで、なるべく人手をかけずに売るというのが極意。ただ、リフォームは人が重要なんです。「クローザー」という、現場に行って、見積もりして、契約してくる人が必要。量販店はこれを外注している会社が多いので、なかなかうまくいかないんです。
――リテールワークスはどんな支援をするんですか。
商談スキルなどの人の教育を含め、1から事業の立ち上げを支援します。具体的には、クローザーの育成、施工付きパック商品の開発、売り場の設計、システム開発などです。
―― 人材育成にまで関わるんですね。
OJTでクロージングのテクニックも伝授します。また、住宅設備機器の基本を学ぶ入門書や、商品の特徴をまとめた冊子まであります。
―― 量販経由のリフォームでどれくらいの売り上げですか。
今は8億円くらい。年内には30億円くらいにしたいと思っています。
機能商社化目指す
――3本目の矢として取り上げられていたリノベーション事業の検討とは何でしょう。
マンションも戸建ても、買い取り再販をやっていこうと考えています。そのために事業提携も検討しています。
――リフォーム事業の立ち上げや中古流通参入となると、従来の商社というカテゴリーにとどまらない会社になってきますね。
全社で2015年までに取り組むため戦略課題「A・A・15」というものがあります。その中で遂げたい3つの課題が「売上拡大」「経常利益率向上」「機能商社化」。最後の「機能商社化」というのがリテールワークスのようなもの。付加価値を提供していきたい。
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