新和建設 田口文男 副会長
技術を元に単価2000万円の工事受注
愛知・岐阜で約80億円を売り上げる中堅ビルダー、新和建設(愛知県北名古屋市)がリフォーム事業を強化する。2期後には現在の54%増となる30億円のリフォーム売上高を計画しており、大型リフォームの受注拡大、拠点の増加を進める。田口文男副会長に今後の事業戦略を聞いた。
築80年の住宅改修

デザインはすっきりさせながら、合理性や耐久性を意識した材料を選定
――御社のリフォームの特徴は平均単価2000万円となる築80~100年の古民家再生だと思います。扱われたきっかけはなんですか。
ウチは現会長、私、社長もみんな大工あがりの職人集団なので、技術面には精通しているわけですよ。そこで、築80年ほどのお客さんから相談があったのが始まりです。その方がたまたま良いお客さんで、現場見学会を造作中や完成後などに3回ほどやらせていただいたんですね。ちょうど空港通りに面していて目立っていたのもあって、1回に80組ほどのお客さんが来ました。
――80組とは多いですね。
反響がすごかった。古民家はこれだけ皆に注目を浴びていたんだなと。お客さんが住まわれてからも見学会を何回も行わせてもらっていますよ。今は、解体した状態、基礎、補強をかけた時、造作の途中、完成したときと5回ぐらい見学会をやらせてもらうんですよ。毎回30組くらいのお客さんが来ます。この前も90数坪という建物で行いました。
――90坪とは広い、敷地面積ではなく、延床ですよね。
はい、昔のお百姓さんの建物ですからね。2階の天井が低いところだと1500㎜~1600㎜ぐらいなので、勾配天井にする。この案件など6000万円のリフォームです。
現場見学会は解体から
――新築よりも高額なくらいですね。こうした方々はどこに頼んでいいか分からないということでしょうか。
だから見学会を解体からやるんです。お客さんは非常に興味をもっていますから、まず1回見学会に来てもらう。その新規のお客さんに今度はリフォーム館という展示場に来てもらい、流れなどのリフォームのイロハを全部説明する。最後に10組くらいのお客さんに限定した現場見学会をもう1回。工事中、完成した現場、そしてお客さんが住んでいる現場を回り、生の声などを聞いてもらうわけですよ。そしてウチで決めていただいたら、設計契約で30万円を頂いて詳細の現場調査を行います。
――これだけ大きい家ですと調査も大変ですね。
床下から天井裏まで、どこが腐っているかとかの調査だけでも一日がかりです。専門の人を呼び調査をしてもらって、初めて細かい見積もりを出します。その時、こういうふうになりますよと、模型も作ります。
――御社の新築は、東濃ひのきを使った建物が特徴ですが、古民家にもひのきを使われるのですか。
もちろん、柱などは全部ひのきですね。もう1つ強みとしては、キッチンカウンターやトイレの棚板とかに使える板材をストックしている。それを、バスツアーに参加して、いついつまでに契約してくださったお客さんに対しては、サービスしますよと、これが結構魅力みたいです。
――この地域には古い住宅は多いのですか。
多いですね。本社の近辺から岐阜の西濃地区、西の方がものすごく多い。部落がいくつか固まっていて、そこは古民家ばかりです。以前、昔の旧街道を7、8キロ歩いてチラシをまいたとき、その間だけで200軒近くありました。
――そうした方々は、古いままの状態でリフォームせずに我慢して暮らしているわけですね。
そう。それと和室ばっかりだから、2世帯住宅でも全然プライバシーが守られない。動線も悪いですね。母屋に風呂やトイレがないから、1回ごと外にいかないとだめ。だから結構、2代目の方が興味を持って見えますね。

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