ナカザワ建販 中澤伸文 代表取締役会長 兼 CEO
住宅建材・プレカット材の販売を行うナカザワ建販が、工務店向け基幹システム「AnyONE(エニワン)」の普及に力を入れている。システムの特徴について、中澤伸文代表取締役会長兼CEOに聞いた。
一元管理で高効率、コストカットに
――「AnyONE」をリリースしたのは5年前だそうですね。どういうシステムなのか、簡単に教えていただけますか。
住まいづくりやリフォームで発生するあらゆる業務を一元化する、業務管理系の基幹システムです。設計・プランニング、契約書の発行、工程表の作成、顧客情報入力など、様々な業務をまとめて管理・運用するためのものです。
なぜこうしたシステムを開発したか。マーケット全体が、持続可能な循環型社会に大きく動こうとする中、次の時代に向けたサポートサービスを強化する必要があると考えたからです。
―― 基幹システムを導入すると、どんなメリットがあるのでしょうか。
あらゆる業務が格段に効率化されるので、お客様との信頼関係の構築、品質向上、コスト削減などがさらに進みます。
また、行政が求めているような住宅関連業者間の連携、リフォーム取引の透明性なども実現できます。
基本情報だけ入力
―― 基幹システムは他社からも発売されています。AnyONEならではの特徴は?
工務店で当たり前に発生する業務管理の部分を、無料で使っていただける点です。また、他の多くの基幹システムだと、基本情報から見積もり、発注入力までしないと請求書が発行できないのですが、AnyONEは、基本情報さえ入力すればすぐに請求書を発行できるなど、すぐに使ってもらいやすい点も特徴です。
こうした無料枠の機能と、顧客管理、帳票出力などのリーズナブルな有料オプション機能を組み合わせて、社内の課題を一気に解決できます。
今後リフォーム業界では、環境対応メンテナンスやエコリフォーム需要などが発生します。そうなったとき、情報の共有化や、顧客フォローをしっかりできる基幹システムがあれば、必ず経営体質の強化に結びつきます。
―― 他社のソフトとの連携も可能だそうですね。
はい。住宅デザインソフト「3Dマイホームデザイナー」、住宅プレゼンシステム「ALTA」、リフォーム積算システム「お積さん」など、市場に出回っている7割以上の住宅関連ソフトと連携が可能です。
そのほか、グーグルマップと連動し、施主宅や物件の位置を、ボタン一つで画面上に表示する機能もあります。住所のずれ補正を搭載しているので、正確な位置情報を知ることができます。
―― AnyONEを導入して効果を上げた企業はありますか?
宮崎県のアイ・ホームさんが、自社パソコン70台と、協力業者のパソコン110台でAnyONEを導入してくださっています。日々の業務や経理が非常にラクになったと、高い評価を頂いています。
こうしたシステムは、高額だと導入が進みません。しかし無料枠を設ければ、自社だけでなく協力業者にまで広がります。
―― 現在の導入件数と、今後の目標件数をお聞かせください。
現在、1500社で導入されています。当面は1万件を目指します。
さらに利便性を高めるため、新たな開発フェーズにも突入しています。
具体的には、現状ファックス等でやりとりしている見積書などを共通フォーマット化するよう、大手企業と共同で開発を始めています。そうすれば、協力業者とのデータ連携も可能です。
―― そのほか、力を入れている事業はありますか。
建築資材分野では「サイディングプレカット」。外壁材を当社工場であらかじめ加工することで、工事現場での粉塵や騒音を抑えることができます。
また、中小向けの住宅安心サービス「住まいりーライフサポート」をグループ会社のクオデザインで手がけています。大手ハウスメーカーでは当たり前に実施している24時間緊急トラブルサービス、お手伝いサービスなどを、中小の工務店でも使っていただけるよう開発しました。顧客の囲い込みサービスとしてご活用いただきたいと考えています。

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