副都心グループ 佐藤直樹社長
売買とリフォームの営業マンを同居
北海道札幌市で年間約1200件と、最大級の中古住宅仲介実績を持つ副都心グループが仲介時のリフォーム事業強化を進めている。従来、別々の場所に常駐していた売買とリフォームの人員を同居。営業マン同士の連携を強めたことで、お客さんの初回訪問時からリフォームを考えた予算取りや、物件選びを可能にした。新しい不動産会社の姿を目指す佐藤直樹社長に、これからの戦略を聞いた。
3つの拠点を1つに集約
――御社ではコーディというリフォーム会社をつくり、十数年前から仲介とリフォームの融合を進めていました。このたび、より事業強化するにあたり、体制を強化したそうですね。
元々札幌は10区あり、1つはFCですが、1区に1店舗不動産仲介店舗を展開してきました。今3店舗を1つに統合した上、建築・リフォーム会社のコーディを分割。コーディの1部と3店舗の人員が同じフロアに同居する店舗を昨年5月、厚別につくりました。
――従来は拠点が分かれていたということですね。
副都心住宅販売は不動産の店舗ですから、事務員と営業がいるだけです。リフォームのショールームももちろんない。それが、新拠点では、1階がショールームで2階がリフォームの営業と不動産の営業が共に自由に座るフリーデスクになっています。
――規模はどのくらいの事務所なのですか。
ワンフロア100坪強です。50人ほどが在籍しています。
――約1年、運営して実績はいかがでしょう。
リフォームの売り上げがガラッと変わりましたね。一緒になったことで、売買との関係性も良くなり、ショールーム効果かリフォームのみの反響も増えました。これからの不動産業はこうした姿になってくると思います。中小の不動産店舗に消費者は集まらないですし、事務所は契約をするだけの場所です。
ショールームを作ることでリフォーム提案も加速させることができる。2月には、この本社に中央区と豊平区と南区の仲介店舗を統合し、コーディの残った組織を同居させました。
――やはり50人ほどが在籍するのですか。
仲介で20人、コーディの人員が30人ぐらいなので、50人ほどいますね。最近は、売買の営業が定額性のリフォームプランで販売しています。リフォーム営業が見積もり、プラン作りをイチから行うと時間がかかります。戸建てでは難しいですが、マンションだと売買担当でも売れるようになってきています。
――すると、売買の営業マンはリフォーム獲得が評価に結び付く仕組みをつくっているのですか。
リフォーム受注額の10%は売買の営業マンに売り上げとして渡し、歩合がつきます。さらに来年からは、歩合を一切なくそうと考えています。
単純な仲介ですと営業1人で完結して成績を評価できますが、建築が絡むと設計や工務などが色々と関係する。その人たちの協力があってこその契約です。賞与の方は、成果部分を残しますが、歩合給をなくしていきます。
――不動産会社としては、異端児ですね。
はっきりいって稼ぐのでしたら売買の量をこなす方がいい。リフォームが絡みますと時間と手間がかかります。でもそんな展開では消費者に喜ばれない。これから不動産業の在り方は相当変わると思います。そんな考えで、昨年の4月から独自保証の「お住みつき」を始めました。
独自保証で安心感訴求
売り物件は全て建物診断
――「お住みつき」は中古住宅に保証やアフターサポートを付け、売る際も買う際も安心感を提供する制度ですね。
5つの保証があり、クリアすると星がつきます。1つ目は建築基準法、品確法、それと私ども独自の基準をクリアしている物件である保証です。それを見定めるため、建物診断を当社の売り物件に対してはすべて行う。マンションも昨年から開始しましたが、月に150件ほどの検査をしています。
――150件とは相当な数です。
検査員が6人いますから、コストが相当かかります。ただ、安心感からか、売りの問い合わせは増えていますね。昨年の秋ごろから増加し、今年の1月などは昨年同月比で3、4割違います。
――そして保証2つ目は住宅瑕疵保険がついていることですね。
JIOの瑕疵保険により最大1000万円まで保証します。ただ、全部の物件についているわけではないので、保証が4つ星になる場合がある。今は15%ほどしかついていないので、いずれ3、4割にしたい。ここが鬼門です。
――続いては引き渡し90日以内に発生した設備の故障対応ですね。どこかと組んで行っているのですか。
独自に行っています。年間約300万円のコストがかかりますが、それでお客さんに不満が出ず、その後多少評判が良くなればと行っています。あとは、戸建て住宅に対する長期修繕プランを作成する「長持ちプラン」と年1回担当者が定期メンテアドバイスと無料小修繕する「住まいの生涯めんて」です。
――「住まいの生涯めんて」はその名の通り、住まいがあり続ける限り訪問するのですよね。何人で回るのですか。
7、8人います。年間1億円ぐらいのコストがかかりますが、大分リフォームにもつながってきました。担当者は長期修繕プランを常にインプットしながら、今年はこういう年ですね、リフォームをしませんかという提案も兼ねています。効果はこれからですね。
――拠点の人員配置や「お住みつき」サービスで体制が整ってきていると感じます。その中で、来期に向け強化していく点はどういったところでしょう。
私どもは各店が各1区だけを自らのテリトリーとし、地域との関係づくりをしてきました。それを今度は、不動産と建築が融合した状態で3つの区を1つのエリアとして新たな地域戦略に取り組んでいます。最終的なゴールは、住まいと暮らしの総合提案。つまりワンストップビジネスです。そのため、今、インテリア業も構築し始めている。これら3つの業は自前で行い、それ以外は他社と連携して行います。コンシェルジュサービスもその一環ですね。
生活の悩みを解決
――どんな内容なのですか。
弊社で買ってもらったお客さんに冊子を配り、そこには、害虫駆除、廃品回収などさまざまな生活サービスを入れ込んでいます。今は、事業者の人と信頼関係をつくる段階なので、掲載費用を一切もらっていません。ただ、良いサービスをしてくださいとだけ言っている。何かあったら辞めてもらうと堂々と言えるのはお金をもらっていないからです。赤字にならなければいいと割り切っていますね。5年、10年先を見て色々取り組まないといけません。
――それは、今後仲介業だけでは成り立たないという危機感でしょうか。
もう単純仲介だけではだめでしょう。地域でマイホームを持っている人との関係性を売買以外でもつくっていこうと思っています。私は将来、"両手禁止"と仲介手数料自由化になるだろうと見ている。売りがだめになったら買いに、建築リフォームにいく。ここ5年10年で法制化すると思いますよ。
――あと、約1年前には、住まいづくりを公平な立場でサポートする相談所「すまいポート21」のFCに入り、店舗をオープンされました。
弊社には今、55社の住宅会社が入っていまして、この55社にお客さんの予算、ニーズなど顧客情報を一斉に流す。そしてやりたいと手を挙げた会社から最大5社をお客さんが選ぶ仕組みです。その建築会社にコンペをしてもらい1社を選ぶのですが、今までお客さんはどこかを必ず選んでいますね。
――そして成約金額の3%を手数料にもらうわけですね。でもリフォームの場合は、御社も工事会社を持っていますから、有利ではないですか。
決まらないですよ。公平に行いますから。一応、5社の中には入れてもらうことは多いですが、有利ではありません。
――最後に今期のリフォーム売り上げはどのくらいを見込んでいるのですか。
前期は13 億円弱でした。今期は弱かった施工部隊も落ち着いてきたので、15~16億円を目指します。

所在地 * 北海道札幌市 / 資本金 * 5200万円 / 社員数 * 153人(2014年12月1日)
グループの住宅関連売上高 * 不動産約15億円、リフォーム約13億円、買取再販4~5億円
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