マルダイ 深沢裕一郎社長
情報発信・共有し工務店支援
木材や新建材、住設機器の販売、プレカット事業を手掛けるマルダイ(静岡県富士市)。流通事業に加えて、地域材を使った住宅づくりを推進するための工務店サポートに力を入れている。深沢裕一郎社長に、その現状と展望等を聞いた。
地域工務店をネットワーク化
――マルダイさんは富士市の本社を拠点に一都5県にまたがって営業を展開しておられます。今、取引している工務店の数はどれくらいですか。
取引先の口座数は全部で2500社ありますが、実際にはひと月に900~1200が動いています。規模としては新築を年間20棟くらい受注する工務店さんが中心です。
―― 創業48年を迎え、前期の売上高は94億円でした。その内訳は。
プレカット事業と納材が3分の1ずつ、残りの3分の1は新建材と住宅設備機器販売です。1995年に立ち上げたプレカット事業の生産能力は、自社分だけで数えると月間で約4500坪、棟数にして約100棟分になります。
―― 2008年にJBNの協力会員に登録し、地域工務店をサポートする組織を立ち上げたそうですね。
工務店ネットワークである「富士山木造住宅協会」を発足させまして、その事務局を弊社がお引き受けしています。現在の会員数は、富士山を囲む静岡と山梨、さらに神奈川、東京にある工務店約220社と木材・建材メーカーなど全部で約270社です。千葉や岐阜、長野などにも同様の組織がありますが、最初に発足したのが神奈川県木造住宅協会で、うちはその事務局もやっています。
―― 中小工務店が地域ごとに連携することで、情報共有などのメリットが生まれるのでは。
そうですね。同じ規模の工務店さんが集まることでお互いに刺激を受け、自分たちも様々な取り組みができるんだと思っていただく場になっていると思います。長期優良住宅など国が推進する事業に対しても積極的な工務店さんが増えています。この協会の主役は工務店さんで、事務局のうちは"黒子"として様々なサポートをしていきます。

本社社屋に隣接するプレカット工場
地元でセミナー開催
―― 富士山麓でとれた地域材を使用した住宅づくりを支援していますね。
当協会では国交省の「地域型住宅ブランド化事業」への応募を支援しています。これは国交省が地域材を活用した木造の長期優良住宅づくりに取り組むグループを募って採択し、そのグループに所属する中小工務店が木造長期優良住宅を建設する場合に補助金を出すものです。協会としての実績は昨年度95棟でした。
―― 会員の工務店さんが参加する活動はどのようなものがありますか。
専門家によるセミナーや技術講習会を頻繁に開催しています。会員数が多いので、東京や名古屋と同じ内容のセミナーを地元でも開くことができ、工務店さん方には喜んでいただいています。レベルアップを図るための実践的なテーマを取り上げるようにしていて、最近開いたゼロエネ住宅のセミナーにも約100人の参加がありました。
リフォームも支援強化
―― 協会の会員工務店さんによる「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の利用も支援していますが、実際の利用状況はどうですか。
昨年度については、応募して採択された件数は40件ほどありましたが、実際に交付申請できた件数はそれよりかなり少なかったというのが現状としてあります。やはり新築で長期優良住宅を経験した工務店さんが、長期優良住宅化リフォームもやるケースが多い。ただ国もリフォームを推進しているので、当協会としても長期優良住宅の未経験施工者に対するサポートを強化していく考えです。
―― 創業50周年に向けての抱負は。
一般流通材とプレカットを利用して中・大規模木造建築物を建設できる体制整備を進めていくため、中・大規模木造プレカット技術協会を昨年設立し、弊社がその事務局をやらせていただいています。今後、新築の戸数は減っていくので、学校の木造校舎など非住宅の受注を少しずつ増やしていきたいと考えています。
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